新田 2大会ぶり金!エースの責任果たし涙 22年北京も意欲

[ 2018年3月18日 05:30 ]

平昌パラリンピック ノルディックスキー距離 ( 2018年3月17日 )

平昌パラリンピックのスキー距離男子10キロクラシカル立位のメダル授与式で、金メダルを手に笑顔の新田
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 ノルディックスキー距離男子10キロクラシカル立位で、10年バンクーバー大会2冠の新田佳浩(37=日立ソリューションズ)が2大会ぶりとなる金メダルを獲得した。新田は14日のスプリント銀メダルに続き、今大会2つ目のメダルとなった。アルペンスキー回転男子座位は森井大輝(37=トヨタ自動車)は4位に終わり、前回ソチ大会に続く2連覇を狙った鈴木猛史(29=KYB)は途中棄権した。アルペン男子が金メダルを逃したのは06年トリノ大会以来3大会ぶりとなった。

 会場へと向かう右カーブを下ると、まず飛び込んできたのが日本国旗だった。「腕がちぎれても、心臓が壊れても、出し切らないと後悔する」。応援団に押されるように右手一本で力強くスパート。バンクーバー大会での2冠以来、8年ぶりの歓喜の涙だった。

 冬季五輪8度出場のレジェンドがジャンプの葛西紀明(45=土屋ホーム)なら、冬季パラのレジェンドは新田以外にいない。17歳だった98年に初めて長野大会に出場。「長野から日本がメダルを獲れていない大会はない。それを止めてはいけないという気持ちだった」と金銀ダブルでエースとしての責任を果たした。

 長野から20年の時を経て、他人の人生に影響を与えるまでの選手になった。新田と同じ17歳で同種目の川除大輝(雄山高)がパラデビューを飾った。川除がパラ競技に足を踏み込んだきっかけはレジェンドの存在。サッカーかスキーかで悩んでいた時、新田はバンクーバー大会後に金メダルを川除の実家に持参し、本物の金メダルを首に掛けてあげた。これを機に、川除はパラへの思いを強め、次代のホープと呼べる存在にまで成長。新田は「今回のメダルでもっと下の選手たちが競技を始めてくれることが次の望み。そのためにも結果を念頭に練習しなければいけない」と決意を語る。

 平昌大会を集大成と位置付け、会社の壮行会では「化石になってきます」と宣言していた。だが金メダルを胸に下げ「化石になりたかったが、まだこのチーム大丈夫かと思うところはある。僕は生きる化石として、自分なりにスキーを楽しみたい」。衰えることを知らない37歳。22年北京へ、再び板を走らせる覚悟がのぞいた。

 ◆新田 佳浩(にった・よしひろ)1980年(昭55)6月8日生まれ、岡山県出身の37歳。3歳の時に祖父の運転する稲刈り機に巻き込まれ、左腕を切断。17歳の時に長野大会に出場。バンクーバー大会距離男子で2つの金メダルを獲得した。日立ソリューションズ所属。1メートル77、68キロ。

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