緑夢の正夢ついに!“グリム物語”ハッピーエンドの金メダル

[ 2018年3月17日 05:30 ]

平昌パラリンピック第8日 スノーボードバンクドスラローム男子下肢障がい ( 2018年3月16日 )

<平昌パラリンピック>男子バンクドスラローム下肢障害、金メダルを手に笑顔の成田緑夢
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 今大会から新たに加わったスノーボードバンクドスラローム男子下肢障がいでスノーボードクロス銅メダルの成田緑夢(ぐりむ、24=近畿医療専門学校)が待望の金メダルに輝いた。日本勢ではアルペンスキー女子座位の村岡桃佳(21=早大)に続く金メダル。同大腿障がいでは小栗大地(37=三進化学工業)が6位に入賞した。リオ・パラ男子走り幅跳び銀メダリストの山本篤(35=新日本住設)は2回目で転倒した際に左肩を脱臼。3回目を棄権し、一度もゴールできず記録なしだった。

 旗門数が多く、テクニカルなコースを流れるように滑走する。障がい者。それを感じさせないほど、成田はスピードに乗っていた。3本の滑走はいずれも最高タイムを更新。3本目は最短距離を滑り、1回目から実に1秒49もタイムを縮めた。「アスリート成田緑夢によくやったと言ってあげたい。ケガをしてからは夢みたいです」。「完璧な銅」に続く、“夢のような金”となった。

 苦手にしていた左カーブを攻略した。2013年4月、トランポリンの練習中の事故で左膝下がまひする障がいを負った。左足前のレギュラースタンスで、爪先を上げ、かかとに体重を乗せて曲がる左カーブは成田にとって「膝下に大きい分厚い皮がついているような感じ」でこれまでは難しかった。

 弱点克服の鍵は左足のブーツ変更。ソフトブーツでぐらついていた足首をアルペンブーツでギプスのように固定したことで「体重もかけやすく曲がりやすくなった」と説明する。それまでは試行錯誤の連続だったが、小栗からのアドバイスで最適解へとたどり着いた。昨年11月のW杯オランダ大会、ターンで悩んでいる成田に対し、小栗が「ハードブーツを使ってみたら?」と助言。そこで好感触を得ると、12月のフィンランド大会で実戦投入。それからは結果を残し続けてきた。

 “ユーチューバーアスリート”らしく、試合後にはすぐさまライブ中継。「パシャパシャ撮られてます」などとカメラマンと一緒に大会の雰囲気を伝えていた。

 ただ、この金メダルで緑夢物語は終わらない。「僕のストーリー、ケガをしても楽しく笑顔で過ごせているという情報共有をするためにスポーツしている。金メダルだとそれが高まる」。日本トップクラスの走り高跳びなど夏季競技にも挑戦中。20年東京に向け、すでに第2章の執筆に取りかかっている。

 ◆成田 緑夢(なりた・ぐりむ)1994年(平6)2月1日生まれ、大阪市出身の24歳。2013年、練習中の事故で左足に障がいを負う。15年にパラ陸上を始め、パラスノーボードは16年に国際大会初出場。今季はW杯総合王者に輝き、現在世界ランキング1位。17年日本パラ陸上選手権では走り高跳び(T44 下肢障がい)2位、走り幅跳び(T44 下肢障がい)2位と夏季競技にも挑戦している。

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