【パラアスリートを支える】4年前にはなかったJISS使用でフィジカル進化

[ 2018年3月16日 10:00 ]

<平昌パラリンピック>男子スーパー複合(座位)、スーパー大回転で右手を大きく上げて滑る狩野亮
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 2016年からパラアスリートも国立スポーツ科学センター(JISS)を使えるようになったことが、今、競技力向上につながっている。アルペンチームのトレーナー兼コーチを務める理学療法士の石井沙織さん(34)は「JISSが使えるようになったことは本当に大きい。持久力の数値も格段に良くなっている」と話す。

 14年4月、障がい者スポーツの所管が厚労省から文科省に移ったことを機に、味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)とJISSで本格的な練習が始まった。それまでも個人トレーナーを付けてフィジカルトレーニングなどに励む選手はいたが、パラアスリート全員がトレーニングや栄養相談など五輪選手と同様のサポートを受けるようになった。石井さんは「JISSを使うことで定期的なフィジカルチェックも可能になった」とトレーナー目線で歓迎する。

 特に低酸素室でのトレーニングがアルペンチームにとって効果的だったという。「高地順応を行うことで、標高の高い南米・チリや欧州へ遠征に行っても、慣らし期間を置かずにすぐトレーニングが可能になった」。このことで雪上練習の時間を長く確保でき、技術向上にもつながったという。

 選手もJISSの効果を実感している。アルペンスキー男子座位の狩野亮(32=マルハン)は「自分のやっているトレーニングの意味とか体の性質を数値として見ることができたのは大きかった。(14年)ソチは独学だったが、確信をもって突き進むことができるようになった」と手応えを口にする。

 「ソチ以上の成果は出せる準備はできている」と石井さん。4年前にはなかった強力な支えがパラリンピアンたちの新たな力となっている。

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2018年3月16日のニュース