美帆、総合V!聖子超え日本人初 新女王に喝采「記憶に残る」

[ 2018年3月12日 05:30 ]

スピードスケート世界選手権 ( 2018年3月10日    オランダ・アムステルダム )

世界選手権で総合優勝し、観客とタッチを交わす高木美帆
Photo By 共同

 女子の後半2種目が行われ、高木美帆(23=日体大助手)が、前日からの首位を守り抜き、166・905点で男女を通じて日本勢初の総合優勝を果たした。これまでの日本女子は1990年大会2位の橋本聖子が最高。6度優勝のイレイン・ブスト(31=オランダ)が総合2位。菊池彩花(30=富士急)は総合7位だった。

 ブストの逆転劇を期待した地元ファンの熱狂は、新女王への喝采に変わっていった。100年以上の歴史ある大会を制し、高木美は「お祭りのようなこの大会で勝てたことは、ずっと記憶に残ると思う。優勝できたのでうれしい気持ちでいっぱい」と感慨に浸った。欧米以外の選手で初めて「クイーン・オブ・スケート」の称号を手にすると、天高く拳を突き上げた。

 主導権を一度も譲らなかった。平昌では銀に終わり悔し泣きしたこの日の1500メートルで、五輪金のブストと同走となった。「ここで五輪の悔しさが晴れることはないが、絶対に脚を止めないという強い気持ちで滑った」。互いにスケート靴を突き出した接戦を、わずか0秒07差で制し、雪辱を果たした。

 世界でも珍しい短距離能力の高いオールラウンダーだ。6度優勝のブストら、中長距離型の活躍が目立つ世界選手権だが、500メートルで鋭い滑りを見せる選手は少ない。今大会を含め500メートルは3年連続でトップ。オランダ人コーチの下、1500メートル、3000メートルも強化され、隙がなくなった。22年北京五輪はさらに成長した姿が期待される。

 表彰式ではオランダ勢を両脇に従えて、ほほ笑んだ。本場では五輪に引けを取らない価値のあるタイトルを、約2万5000人の観客の前でつかんだ。「最初は屋外リンクということで正直、乗り気でない部分もあったが、レースごとに、この場で滑れるのは幸せなことと思えたし、レース自体を楽しいと感じる気持ちを味わえた」。高木美の時代が華やかに幕を開けた。

 ▼日本スケート連盟・橋本聖子会長 日本人初の快挙に心よりお祝い申し上げます。おめでとう!と、ありがとう!の感謝の気持ちを伝えたいです。今シーズンの美帆の滑りは記録と記憶に残る以上に心に染みる滑りをしてくれました。なかなかできることではありません。これからも感動の滑りに期待をしたいと思います。(92年アルベールビル五輪女子1500メートル銅メダル)

 ▽スピードスケート世界選手権 距離ごとに勝者を決める五輪などと異なり4種目の総合成績で争う。女子は500、1500、3000、5000メートル。各距離のタイムを500メートルに換算し、合計ポイントの少なさを競う。日本勢は女子が1990年の橋本聖子、男子は95、97年の白幡圭史の2位が最高。国際スケート連盟(ISU)によると大会は1889年から行われている。

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