パワハラ疑惑の栄和人氏「伊調が心配」「逆に寂しい」「言葉足らずだった 申し訳ない」

[ 2018年3月1日 15:40 ]

2014年9月、世界選手権から帰国してメダルを手にする伊調馨と栄和人・全日本女子レスリング監督(当時)
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 レスリング女子で史上初の五輪4連覇を達成し、国民栄誉賞を受賞した伊調馨(33=ALSOK)から、繰り返しパワーハラスメントを受けたとして告発された日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57)が1日、愛知・至学館大学で報道陣の取材に応じ「(伊調が)本当に言ったのか、心配しかない。(騒動が)大きくなり、心配しかない」「(騒動が)ここまでなってしまったことに、逆に寂しさを感じる」「言葉足らずだった。申し訳ない」などと心境を吐露した。

 栄氏は「伊調がやりやすいようにやる中で、チームとしての和を乱さないようにしてほしいというだけの指導はしました。伊調選手がここまで本当に言ったのかなという心配と、ここまで事が大きくなっていることに彼女がどうしているんだろうという心配しかなくて。私なりに、ここまでなってしまったことに、逆に寂しさを感じている。圧力をかけたことはなく、彼女のためを思ってやってきましたが、僕自身が言葉足らずだったのかなぁと思って。申し訳ないなと思っています」と明かした。

 田南部コーチに対し、伊調への指導をやめるように忠告したとされるが「いろいろなコーチがいますので、そのコーチ全体を私が見なきゃいけないので、田南部とだけ、どうのこうのではなくて。そんなことを言う筋合いもないし、言う必要もないし。どう受け取ったかは分かりません」と語った。

 伊調は代理人弁護士を通じて、内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出。告発状によると、伊調が2004年アテネ、08年北京と五輪連覇した後、練習拠点を愛知県大府市の至学館大から東京へと移したが、これに栄氏が激怒したとしている。

 伊調は近隣の大学や自衛隊への出稽古のほか、男子の合宿にも参加。当時、男子の強化スタッフだった田南部力コーチに指導を仰ぐ形で技術を磨いた。当時、女子強化委員長だった栄氏は田南部コーチに対し、伊調への指導をやめるように忠告。12年ロンドン五輪で3連覇を成し遂げた後には、栄氏は伊調が男子の全日本合宿に参加することを禁じ、田南部氏が指導拠点としていた警視庁への出入りも禁止したという。

 日本レスリング協会は1日、見解を発表。「当協会が伊調選手の練習環境を不当に妨げ、制限した事実はございません」「田南部力コーチに対し、伊調選手への指導をしないよう不当な圧力をかけた事実もございません」などとコメントし、パワハラ疑惑を否定した。

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2018年3月1日のニュース