マススタートを黒岩敏幸氏が解説!理想はオランダ見つつ、残り2周5番手以内

[ 2018年2月24日 19:05 ]

平昌冬季五輪 スピードスケート女子マススタート ( 2018年2月24日 )

 マススタートに向け調整する(右から)ウイリアムソン師円、土屋良輔、中村奨太、高木美帆、佐藤綾乃=江陵(共同)
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 【今日のツボ教えます】今大会好調のスピードスケート女子の日本代表は、24日に行われる新種目のマススタートでもメダルを狙っている。チーム戦略が重要となるマススタートで、日本はどう戦うのか?92年アルベールビル五輪男子500メートル銀メダリストの黒岩敏幸氏(48)が解説してくれた。

 マススタートは簡単に言えば、一斉スタートで16周した着順を競う種目だ。4周、8周、12周通過時の上位3人にもそれぞれポイントが与えられるが、最終着順のポイント配分が高く、メダルは実質的にゴール時の上位3人に与えられる。

 五輪では1カ国最大2人がエントリー。1回戦をそれぞれ突破すれば決勝には2人が同時に出場する。個人競技のように思われるかもしれないが、実際はチーム戦略が重要になる。先頭の選手を風よけにして、後方の選手は体力を温存する。1人をおとりにしてライバルを警戒させる隙に、もう一人が仕掛ける。作戦はさまざまだ。

 日本の高木菜はスピードの上げ下げができ、マススタートを得意としている。経験豊富で、周りを見ながら状況判断して滑ることもできる。佐藤は同じペースで長い距離を滑ることができ、最後に勝負できるタイプだ。今季のW杯初戦(オランダ・へーレンフェイン)では高木菜がうまく有力選手を引きつけて抑え、佐藤がラストで競り勝った。

 強国オランダ勢がレースの中心になるだろう。理想を言えば、日本はオランダの選手をマークしながら、2人で隊列を組んで滑り、残り2周で5番手以内につけていたい。そうすれば最後にスプリント勝負に持ち込み、戦術によって温存された体力で、メダルのチャンスが出てくる。

 ただし、レース展開は予想がつかない。序盤で飛び出す選手がいるかもしれない。だが、それがおとりの可能性もある。その国から代表選手は1人でも、他国の選手と協力している場合もある。状況を見極めながら、終盤の勝負のためにエネルギーをためておきたい。日本はいくつものレース展開を想定して、作戦を用意しているだろう。はまれば金メダルの可能性、つまり2選手にとっては2冠の可能性も十分ある。(92年アルベールビル五輪スピードスケート男子500メートル銀メダリスト)

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2018年2月24日のニュース