伊調馨、団体追い抜き金を祝福 「誰かのために」思い強い女性ならでは

[ 2018年2月23日 10:30 ]

平昌冬季五輪   スピードスケート女子団体追い抜き ( 2018年2月21日 )

女子団体追い抜きで金メダルを獲得した(左から)高木美帆、高木菜那、佐藤綾乃、菊池彩花
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【メダリストは見た】レスリング・アテネ、北京、ロンドン、リオ金 伊調馨氏

 団体追い抜きのメンバーの皆さん、本当におめでとうございました。そして、お疲れさまでした。「勝って当たり前」と思われている中、五輪新記録で勝ったというのは、やるべきことに集中できた証拠だと思います。それにしても中盤、オランダにリードされてヒヤヒヤしましたが、さすがでした。五輪の日本人最初の金メダリストである織田幹雄さんの言葉に「強いものは美しい」がありますが、隊列、先頭交代、全て美しかった。手に汗握って観戦、応援させていただきました。

 美しい姿をつくっているのはきっと、単調な練習の繰り返しだと想像しました。技術を磨くためには、単調な練習の反復が重要だと思います。私も一つの技術を身につけるために、単調な練習に明け暮れた経験があります。決して楽しいものじゃありません。でも、何千回、何万回と繰り返していると、ある時、何かが降りてくる。コツをつかむ瞬間、とでも言えばいいんでしょうか。その成功体験が、次の技術を身につけるための単調な練習に耐えるエネルギーになる。きっと団体追い抜きの皆さんも、そういう瞬間を積み重ねてきたのだと思います。尊敬します。

 最近、気づいたことがあるんです。誰かの喜ぶ顔が見たい、誰かのために頑張りたいという思い、実は男性より女性アスリートの方が強いんじゃないか、ということです。男性は「自分のために」が前面に出ませんか?レース後に「このメンバーだったから頑張ることができた」という内容の言葉を聞き、「女性あるある」だと感じました。決勝に出場した高木美帆さん、高木菜那さん、佐藤綾乃さんだけじゃなく、準決勝を走った菊池彩花さん、そして一緒に頑張ってきた押切美沙紀さんも、金メダルに値すると思います。

 高木姉妹の同時金メダル、良かったですね。私も姉(千春さん)と一緒に金メダルを獲ることを目標に、アテネ、北京と戦いました。階級が異なった私たち姉妹とは違い、高木姉妹はライバルでもあったと聞きました。きっと2人の間に距離感ができたこともあったと思いますよ。でも、本当のライバルは世界であることに気づけたから、この瞬間につながった。妹の美帆さんが初めて五輪に出てから3大会。ここに至るまでの時間、無駄じゃなかったと思います。

 私は姉が引退してからも2度、五輪に出場しましたが、その2度は金メダルが目標ではありませんでした。理想のレスリングを追い求め、その延長線上に金メダルがあるというイメージです。でも、客観的に五輪を見ると、やっぱり勝たないとつまらないというアスリートの感情が、改めて分かってきて、面白かったです。日本に負けたあとのオランダ選手の表情、悔しそうで悔しそうで、いいなあと思いました。

 最後に。小平さんにアナウンサーさんが「獣みたい」と言ったこと、ずいぶん批判されているようですけど、私はいいと思いますよ。強い選手はやっぱり動物本来が持つ美しさがある。私が言われたら、うれしいですね。

 ◆伊調 馨(いちょう・かおり)1984年(昭59)6月13日、青森県八戸市生まれの33歳。姉・千春さんの影響で3歳からレスリングを始める。04年アテネから16年リオデジャネイロまで、全競技を通じて女子アスリート初の五輪4連覇を達成。世界選手権も10度制覇。16年10月に国民栄誉賞を受賞。1メートル66。ALSOK所属。

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