宮原メダル射程!帰って来たミスパーフェクト 3位に2・93点差

[ 2018年2月22日 05:30 ]

平昌冬季五輪 フィギュアスケート女子SP ( 2018年2月21日 )

女子SP、4位につけた宮原(撮影・小海途 良幹)
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 女子ショートプログラム(SP)で宮原知子(19=関大)と坂本花織(17=シスメックス)がそろって自己ベストを出し、メダル圏内につけた。宮原は1・3点更新する75・94点の4位で、3位のケイトリン・オズモンド(22=カナダ)とは2・93点差。坂本は自己記録を1・84点上回る73・18点の5位で、日本勢女子2大会ぶりの表彰台へ望みをつないだ。アリーナ・ザギトワ(15=個人参加のロシア選手)が世界最高の82・92点で首位に立った。

 特別な舞台に惑わされず、宮原の頭の中はシンプルだった。鬼門の最初のジャンプ、3回転ルッツ―3回転トーループ。前日、成功のポイントを擬音語で説明していた通り、思い切って踏み切った。

 「グッて跳びました。ルッツは記憶に残っていなくて…。ルッツ降りたらすぐトーループのことを考えていて、トーループはバンって降りました」

 今季成功率27%だった連続ジャンプをクリアし、視界が開けた。残る2つのジャンプも鮮やかに決め「ミスパーフェクト」が帰って来た。

 得点を待つ間、浜田美栄コーチ(58)が手を握りしめた。13年世界ジュニア選手権で回転不足を取られ、ぼうぜんとする教え子に声をかけられなかったことを今でも悔いている。それから2人の恒例となった“おまじない”。表示は75・94点。従来の自己記録を1・3点上回った。宮原の強ばった顔が和らいだ。「緊張していると自分で感じていたので、大きなミスなく終えられて、ひとまずほっとしたという感じです」。

 映画「SAYURI」の曲を滑るSPには、特別な思いがある。米国に住んでいた幼少期、英語の原著を同い年の親友、シャルロットちゃんの母から渡された。旧友の名字は心にしまいつつ、五輪にかけるもう一つの物語をこれまでに口にしている。

 「オリンピックで私のことを知ってくれれば、それはすごくうれしいこと。シャルロットがどうしているのか、全く知らないので」

 医者の両親の仕事で、4〜7歳までテキサス州で暮らした。幼稚園時代は“変わった子”。「卒園まで園で一言も口を開かなかったそうです。ボディランゲージだけ」。母・裕子さん(48)が心配でカウンセリングを受けさせたほどだ。

 小学校で教師に恵まれ、少しずつ態度に変化が出た時に出会ったのが「シャルロット」だった。母は「いつも一緒に遊んでいました。本当に仲良しで」と、12年前を懐かしがる。それと同時に、親子は運命を感じていた。

 SPが「SAYURI」に決まった19歳の昨春、京都市の自宅の書庫を探した。あの時の英語の古い一冊があった。今季、宮原はカバンに忍ばせて読み進めている。この韓国にも持参した。「表現力を磨くためにも」。今や欠かせぬ存在だ。

 寡黙だった少女は今、冬の祭典で堂々と滑る。ロシア勢2人が飛び出したものの、3位オズモンドには2・93点差の4位だ。「試合はフリーで勝負が決まる」。メダルは射程圏。活躍よ、「シャルロット」に届け。

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2018年2月22日のニュース