平野銀に思う採点競技の永遠の課題 東京五輪でサーフィンやスケボーは…

[ 2018年2月16日 11:10 ]

<平昌冬季五輪・スノーボード男子ハーフパイプ決勝>銀メダルを獲得し、日の丸を背負い笑顔の平野歩夢
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 採点競技にとっての、永遠の課題を突き付けられた思いがする。

 2月14日に行われた平昌冬季五輪のスノーボード・ハーフパイプ男子決勝。日本の平野歩夢は2回目に95・25点と高得点を叩き出したものの、3回目に米国のショーン・ホワイトに逆転を許して2大会連続の銀メダル。手に汗握るハイレベルな金メダル争いだったことは間違いないし、この結果に特に違和感はなかった。

 一方で本紙で解説を務める2002年ソルトレークシティー、2006年トリノ五輪代表の中井孝治氏が指摘するように、予選順位で決まる決勝の滑走順が逆であれば、違う結果が出ていたかも知れない。採点は個々の技(エアー)や回転数などに基礎点がある絶対評価ではなく、あくまで100点満点の相対評価。この手の競技の場合、競技順が遅いほど有利であることは定説だ。

 実は2020年の東京五輪の追加種目に決まっている競技には、この相対評価の採点競技が多い。サーフィン然り、スケートボードも然り。空手の形は世界選手権などで採用されている旗判定に代わり、採点方式が導入される見込みだが、どちらの場合もジャッジの主観が完全に排除されるわけではない。今回のハーフパイプのように、競技者も専門家も素人も納得のいく順位になればいいが、そうならなかった場合、後味の悪さは必ず残る。競技そのものにとっても不幸なことだ。

 五輪競技の“先輩”と言えるフィギュアスケートも、かつては「6・0ルール」と呼ばれる6点満点の採点方式だった。技術点と芸術点、それぞれ6点満点で審判が採点していたが、個々のジャンプや技に基礎点があったわけではないので、主観ありきの相対評価だった。そうした採点方法の暗部が露呈したのが、2002年のソルトレークシティー五輪。ペアで不正疑惑が発覚し、フィギュア界は現在の加点方式へと大きく舵を切った。

 早くも2年後に迫った東京五輪に向けて、今からこれらの採点競技を絶対評価にするのは時間的に不可能だろう。無理に導入すれば、現在の競技特性や勢力図を大きく変えてしまう。そうなればサーフィンやスケートボードでプロ活動するトップ選手は五輪に出場せず、実質的に世界の頂点を争う競技にならなくなる。スノーボードにおける五輪黎明期がそうであったように。

 ソルトレークシティー五輪の男子ハーフパイプ決勝を報じる2002年2月13日付けのスポニチ東京版1面には、こんな見出しが躍っている。

 疑惑の採点 メダル獲れた

 中井くん 超ムカッ 5位

 高難易度の技を成功させながら、得点は40・7点(50点満点)と伸び悩んだ。記事には「あまりに低い得点に場内からは一斉にブーイングが沸き起こった」とある。当時17歳だった中井氏もまた、相対評価の“被害者”だった。

 私自身、答えは出せていないが、しこりを残す結果は見たくない。(阿部 令)

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