異色ランナー上田瑠偉が目指す東京五輪ではない“世界の頂”

[ 2018年2月14日 09:35 ]

<X−RUN CHIBAクロスカントリー大会>一般男子20キロで優勝したコロンビアスポーツウェアジャパンに所属する上田瑠偉
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 多くのランナーを苦しめた上り坂を、「ゆるやかに思えた」と軽快に駆け抜けた。今月4日、千葉・昭和の森では千葉クロスカントリー大会が開催された。一般男子20キロの部では、24歳の上田瑠偉が2位に3分40秒もの圧倒的な差をつけて1時間6分4秒で優勝した。この快足ランナーの正体、実は山道を主戦場にするトレイルランナーだった。

 経歴は一風変わっている。高校時代は陸上の名門・佐久長聖(長野)の駅伝部に所属した。早大に進んだが、陸上部には入らなかった。陸上競技同好会で仲間と走った100キロのロードレースがきっかけとなり、トレイルランニングに出合った。才能はすぐに花開く。14年の日本山岳耐久レースで大会記録を18分も更新して大会最年少優勝した。2年後の16年、より標高の高い山で行われるスカイランニングのU―23世界選手権では世界の頂点に立った。

 コロンビアスポーツウェアジャパンに所属。これまでは週に3日ほど勤務する日があったが、今年はより走りに集中するために月1出勤のスケジュールに替えた。「マラソンもたまにやりますけど、山の割合が多いですね」。山の場合、舞台は標高2500メートルほどのゴツゴツした岩場。練習場は近所の高尾山や、時には北アルプスや八ケ岳まで足を伸ばす。登山者がいない時期や時間を見計らって走るという。

 険しい山道を駆け抜ける競技者というと山伏のような厳つさのある人を想像するかもしれないが、実際はとても物腰の柔らかな青年だ。「20年の世界選手権で優勝したい」というのが目下の最大の目標だという。20年といえば、日本では東京五輪が開催される年。マラソンやクロスカントリーは競技にあるが、もちろんトレイルランニングはない。世界の頂を目指す道は、いろいろだ。(波多野詩菜)

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2018年2月14日のニュース