体操・冨田洋之氏 風に泣いたレジェンド葛西に「次へ集中 切り替えて」

[ 2018年2月12日 09:50 ]

平昌冬季五輪 ジャンプ男子個人ノーマルヒル ( 2018年2月10日 )

競技を終え、悔し気な表情の葛西
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 【メダリストは見た】 体操・アテネ団体金 冨田洋之氏

 予定時刻を大幅に遅れて終了したジャンプ競技。改めて屋外競技、特に気象条件に左右される競技の大変さを感じました。寒さに震えて待たされる選手も調整が難しい。1本目の順位から最終結果が大きく変わった点を見ても、競技の難しさが分かると思います。

 日本選手は小林潤志郎選手が2本目に進めず、葛西選手も本人は失敗したとコメントしました。メダルに届かず残念でしたが、まだラージヒル、団体戦が残っています。しっかりと切り替えて次に臨んでもらいたいと思います。

 体操も多種目ある競技。現役時代は1種目目の内容が良ければそのままのイメージで行く、悪ければ改善点を見つけ、調整して翌日に臨むなど、切り替えを大切にしていました。競技の特性上、切り替えは非常に重要。個人総合では幸い、種目が切り替わるので、次の種目の注意点などに集中すれば、比較的簡単に切り替えができていたように思います。

 こじつけと思われるかもしれませんが、ジャンプは跳馬と共通する部分が多くあります。助走して、踏み切りを合わせて、着地を決める。私が跳馬で大切にしていたことは、助走前にしっかりとフィニッシュまでのイメージを持ち、リズムをつかむことでした。空中姿勢に関しては、つり輪の力技、特に中水平に似てます。ジャンプの場合は風の影響があるので微調整はあると思いますが、「微動だにしない」という点では共通してますよね。体操の場合、着地で止まる、止まらないは、地面に着く瞬間ではなく、実は空中への飛び出し方、体のコントロールの仕方でほとんど決まってきます。その点はジャンプも共通するのではないでしょうか。

 ジャンプと体操は団体戦でも共通点があります。競技の最中は1人ですが、団体戦ではチームで戦うという意識が強い。疲労度的には個人戦よりも大きいですが、やりがいもありました。

 金メダルを獲った04年アテネ五輪の団体総合では、比較的早い段階で鉄棒の最終試技を任されることを伝えられていました。最後で勝敗が決まるだろうと予想され、そのイメージをしっかり持って練習できていたので、本番はいい緊張感で臨めたのを記憶しています。今でもあの時の映像をテレビで目にしますが、緊張感がよみがえりますね。今は子供もいるので、その映像を見て「パパだー」と言ってくれる。違う喜びもあります。

 最後になりますが、体操からスキーのエアリアルに転向した田原のことは、特に応援しています。同学年で、地元関西のジュニア時代から一緒にやっていた仲間です。転向当初はさまざまな苦労、体操との違いに困惑したことが多かったと聞いていますが、五輪にたどり着いたことに敬意を表したいと思います。彼の壮行会には出られませんでしたが、現地に持って行く日の丸にメッセージを書かせてもらいました。納得のいく演技をしてもらいたいと思います。

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