【平昌で輝け】勢藤優花 最大スランプ乗り越え初舞台で羽ばたく

[ 2018年1月31日 11:00 ]

21日のW杯蔵王大会で6位入賞した勢藤
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 初めての五輪の重圧なのか。ノルディックスキー・ジャンプ女子で初の五輪代表となった20歳の勢藤優花(北海道ハイテクAC)が今季、最大のスランプに陥った。昨年12月のW杯個人第3戦(ノルウェー・リレハンメル)。19位に沈んだ後「どう飛べばいいのか分からなくなった。空中に出るのが怖いと思った」と試合後、大粒の涙を流した。W杯序盤戦は本来のジャンプに程遠く、成績も低迷。もがき苦しんだ。

 昨夏から安定した助走ができるようにスタート時の動作を少し変えた。これが迷いを生じる要因の一つになっていた。1月6日の雪印メグミルク杯(札幌・宮の森)。その前日にスタート時の動作を元に戻すことを決断。座っているバーを軽く押して滑りだすという以前の動作に戻して徐々に不安が解消されたという。「飛ぶのが凄く不安だったけど、課題をクリアできてきた。もう少し練習すれば前の感覚が戻るはず。考えすぎないように心掛けたい」。同じタイミングでリラックマの本をプレゼントされ、気持ちに余裕が生まれ、調子は上向いた。今月中旬のW杯蔵王大会では今季初の1桁順位となる6、8位。ようやく五輪で戦える態勢が整った。

 北海道の上川町出身。W杯通算53勝の高梨沙羅(クラレ)とは幼稚園から中学校まで一緒の幼なじみ。旭川龍谷高を卒業後、15年4月に北海道メディカル・スポーツ専門学校に進学すると、98年長野五輪金メダリストの船木和喜副校長の指導を受け、頭角を現した。現在は、陸上女子短距離界のエース・福島千里がかつて在籍したことで知られる北海道ハイテクACに所属する。

 もうすぐ初の五輪舞台が待っている。昨年2月のW杯プレ大会では自己最高の5位となった相性のいいジャンプ台。「楽しんでいい順位を出したい」。苦しんだ分だけ、大きな喜びが待っているはずだ。

 ◆勢藤 優花(せとう・ゆうか)1997年(平9)2月22日、北海道上川郡上川町生まれの20歳。上川小1年秋からジャンプを始め、高梨沙羅と同じ上川ジャンプ少年団に所属。旭川龍谷高を経て、北海道メディカル・スポーツ専門学校に進学。17年4月から北海道ハイテクACに所属する。W杯個人最高位は5位。家族は両親、妹。1メートル68、55キロ。

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