横審　稀勢進退不問　春場所の全休も容認“完全復活”待つ

報道陣の質問に答える北村・横審委員長。左は春日野理事
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　日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会は２９日、東京・両国国技館で定例の会合を開き、初場所の途中休場で５場所連続休場となった横綱・稀勢の里（３１＝田子ノ浦部屋）について、次に出場する場所に進退は懸からないという見解を示した。先場所までと同様、ケガの完治を優先させることを求め、春場所（３月１１日初日、エディオンアリーナ大阪）の全休も容認した。

　和製横綱に対し横審が復活までの猶予を与えた。４場所連続休場となった昨年九州場所まで万全の体調に戻してから出場してもらいたいという意見が続いたが、今回も同様だった。北村正任委員長（毎日新聞社名誉顧問）は会合後の会見で「来場所以降も同じこと。きちっとやれるという判断が持てたときに出てきて頑張ってほしい」と述べた。

　初場所で途中休場となった稀勢の里は、稽古を再開した２４日、次に出場する場所について「次は覚悟を決めてと思っている」と進退を懸ける決意を語っていた。思うような結果が出せなかった場合、引退やむなしという覚悟だ。だが、横審は次に出場する場所には進退を問わない考えだ。北村委員長は「同じこと（途中休場）がまた繰り返されるようだったらそこで考えないといけない。横審としてもどういう判断にするか考えなければいけないという意見が出た」と説明した。横審は成績不振の横綱について「激励」「注意」「引退勧告」を決議することができるが、稀勢の里の場合、再び途中休場となっても「激励」などにとどまる見通しだ。

　「稀勢の里はファンが期待している。なんとか困難を克服してほしい。それが横審全員の意見」と北村委員長。和製横綱の完全復活を、長い目で見ていく考えだ。

　▼宮田亮平委員（文化庁長官）　慌てないでいい。最高の形で立派な相撲を取ってほしい。

　▼岡本昭委員（岡安証券最高顧問）　横綱というのは万全の態勢を整えてくるのが本当。横綱なら優勝したるぞという気持ちができるまで、控えた方がいい。

　▼山内昌之委員（東大名誉教授）　力と精神が全快だと認識して、自信が出て戻ってきてほしい。