初Vの栃ノ心、忘れない…兄弟子の支え 臥牙丸とも励まし合い

[ 2018年1月28日 08:00 ]

帰る途中、子供たちにサイン攻めに応じる栃ノ心(中央)
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 栃ノ心は05年に来日してから今日までを「最初の1、2年が長く感じた。そこから早かったですね」と振り返る。言葉が通じず、文化も全く違う異国での生活。寂しくて、同じくジョージア出身の臥牙丸と母国語で話すことが息抜きだった。

 臥牙丸は「毎日会っていたよ。2人ともお金がなくて。小銭でアイスを買って、コンビニで2人で食べながら励まし合ったね」と懐かしむ。

 そんな孤独感の中で、栃ノ心が「優しかったなあ」と感謝する兄弟子がいる。春日野部屋元力士で現在、故郷の青森県弘前市で飲食業を営む棟方弘光さん(40)。栃ノ心が入門直後に、師匠の春日野親方から“世話役”に指名された。ちゃんこ番やトレーニング、治療も一緒にやった。

 言葉の壁は大きかった。棟方さんは「自分も青森出身。なまりが出て、苦労した。外国出身だとなおさら」と親身になって教えた。部屋のおかみさんは、ジョージア語の辞書を探し回ったが見つからなかった。そこでパソコンの翻訳サイトでジョージア語の単語を和訳。「好き」「嫌い」など簡単な言葉を印刷し活用。棟方さんは「部屋みんなで助けました」と謙遜する。

 「プロ競技で、なぜ選手(力士)が掃除や皿洗いをしないと駄目なのか。外国人に伝えるのは難しい。栃ノ心は分かってくれた。日本人より前向きでした」。08年に引退し、遠くで見守る兄弟子は、懸命に努力していた17歳の少年の姿をはっきりと覚えている。

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2018年1月28日のニュース