楽天・ペゲーロ 犠打無縁の攻撃的2番打者

[ 2018年1月28日 10:30 ]

楽天・ペゲーロ
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 【宮入徹の記録の風景】チャンスメイクに比重を置かない。楽天のカルロス・ペゲーロ外野手(30)は昨年26本塁打。うち23本を先発2番で記録した。この打順では広島・菊池、ソフトバンク・今宮の14本塁打を抑え、両リーグで最も多かった。歴代先発2番打者のシーズン最多本塁打記録は06年ヤクルト・リグスの37本。次いで80年阪急・簑田浩二30本、00年日本ハム・小笠原道大27本、73年ロッテ・ラフィーバー、99年日本ハム・小笠原各23本と続き、ペゲーロは歴代4位タイ。梨田采配がずばり当たった格好だ。

 昨年の楽天は、先発1番の茂木が6本の初回先頭打者本塁打を含む17本塁打をマーク。先発1、2番がそろってシーズン20本塁打以上を放ったのは80年の阪急だけ。1番・福本豊21本、2番簑田浩二30本で記録した。ペゲーロは昨年終盤、先発3、4番での出場が増えたが、これらの打順では通算29試合で打率・213、3本塁打、9打点と低調。一方、先発2番では打率・302、23本塁打、66打点と好成績を収めた。今季は1番茂木、2番ペゲーロで史上2組目の20発コンビ誕生を期待したい。

 ところで、先発打順別の個人シーズン最多本塁打は誰なのか。気になったので調べてみた。1番は02年西武・松井稼頭央の36本。それまでの最多記録だった85年阪神・真弓明信の34本を塗り替えた。2番は前出リグスの37本。3番は85年阪神・バースで54本。チーム史上初の日本一をもたらす猛虎打線の中心として活躍した。4番は13年ヤクルト・バレンティンの58本。この年はプロ野球新記録の60本塁打をマークし、4番以外では5番で2本放っている。5番は92年西武・デストラーデの41本。10年巨人・阿部慎之助は40本で1本及ばなかった。

 下位打線に移ろう。6番は08年西武・中村剛也の36本、7番は04年西武・中島裕之(現オリックス=宏之)の26本と、1番の松井とともに現役勢が占めた。8番は87年巨人・山倉和博の21本。チームではONを差し置いて?唯一名を連ねている。「意外性の男」が持つ隠れた勲章だ。9番は80年ロッテ・水上善雄の15本。全打順の中で最も古い記録として残っている。

 話を2番に戻したい。過去には、先発2番打者が成し遂げたユニークな本塁打記録がある。それは中日・中利夫(78〜80年に中日監督)の延長戦2ホーマーだ。59年8月2日大洋―中日19回戦(川崎)でのこと。中日・中山俊丈、大洋・秋山登の先発で始まったこの試合。両投手とも互いに譲らず、0―0のまま延長戦に突入した。11回表に中が秋山からソロ本塁打を放ち1―0と勝ち越し。その裏、代打・坂本盛明の適時安打で大洋は1―1の同点に追いつく。そして13回2死一、三塁の場面で中は秋山降板後に登板した大石正彦から左中間へのランニング本塁打。4―1と勝ち越し、そのまま逃げ切った。80年を超えるプロ野球の歴史を見ても、延長戦で個人2ホーマーは中だけの記録だ。現在、延長戦のイニング制限規定は12回まで。今のままなら中に並ぶ選手は当分出てきそうにない。(敬称略、専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、第1回から27回連続で資料説明役として出席。

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