堀島 絶対王者止めモーグルW杯初勝利、平昌金獲り態勢整った

[ 2018年1月22日 05:30 ]

フリースタイルスキーW杯モーグル第7戦 ( 2018年1月20日    カナダ・トレンブラン )

W杯男子モーグルで初優勝した堀島(AP)
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 男子は昨年の世界選手権2冠の堀島行真(20=中京大)が93・88点で優勝し、W杯初勝利を挙げた。予選を3位で通過し、16人による決勝1回目は2位で突破。上位6人による決勝2回目で今季W杯最高得点をマークし、昨季から13連勝中だったミカエル・キングズベリー(25=カナダ)を抑えての価値ある勝利を手にした。五輪前最後のW杯を最高の形で締めくくり、金メダル獲得に向けて大きな弾みをつけた。

 20歳のホープが五輪を目前にして大きな殻を突き破った。「やっぱりうれしい気持ちが一番先に来る。ミック(キングズベリー)に勝てたのが一番うれしい」と表彰台の真ん中で大きな笑顔がはじけた。

 決勝1回目で2位に入ると「ここで失敗したら今までの自分と一緒」と自らを鼓舞した。「このコースはみんなスピードが速い。最初から飛ばしていった」。決勝2回目の第1エアは圧巻だった。大技のダブルフルツイスト(伸身後方1回宙返り2回ひねり)を繰り出し、中継するテレビカメラのフレームからはみ出るほど高々と宙を舞った。

 着地もぴたりと決めて中間部をミスなく滑り降り、第2エアでも高得点を稼いだ。その完璧な滑りが最終滑走のキングズベリーのミスを誘った。W杯通算48勝を誇る王者はオーバースピードで突っ込み、中間部の後半でターンを乱した。五輪に向けて「僕がトップに立った時にミックがどう滑るかを見たかった」という堀島にとっては貴重なシミュレーションにもなった。

 W杯未勝利のまま昨季の世界選手権を制し、今季は重圧から低迷していた。「ここで一番になっておけば周りも安心してくれる。狙っていた部分はあった。ホッとした気持ちが大きい」。見守ってきた周囲の人間も同じ気持ちだった。復活を待ち望んできた城勇太コーチは「本当に信じて良かった」と喜んだ。五輪本番まで3週間を切った。「残りの時間を大切にして金メダル目指して頑張る」。ぎりぎりまで時間はかかったが、臨戦態勢は整った。

 【堀島 行真(ほりしま・いくま)】

 ☆生まれとサイズ 1997年(平9)12月11日、岐阜県池田町出身の20歳。岐阜第一高から中京大に在学中。フィギュアの宇野昌磨とはスポーツ科学部の同級生。1メートル70、66キロ。

 ☆競技歴 両親の影響で1歳からスキーを始め、小4から本格的にモーグルを始める。13年2月の猪苗代大会で、中学生ながらW杯デビューを果たした。

 ☆戦績 15―16年シーズン開幕戦のデュアルでW杯初表彰台の3位となり、そのシーズンの国際スキー連盟新人賞に選出。初出場した昨季の世界選手権でモーグルとデュアルを最年少で制し大会史上初の2冠を達成。

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