バイキングスが史上初の“逆転サヨナラTD”でNFC決勝に進出 奇跡のラストプレー!

[ 2018年1月15日 12:53 ]

逆転サヨナラのTDレシーブをマークしたバイキングスのディッグス(AP)
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 NFLのプレーオフ、ナショナル・カンファレンス(NFC)の準決勝残り1試合が14日、スーパーボウルの試合会場にもなっているミネアポリス(ミネソタ州)のUSバンク・スタジアムで行われ、第2シードのバイキングスが29―24(前半17―0)で第4シードのセインツを退けて8季ぶりにNFC決勝に進出。史上初となる本拠地開催のスーパボウル進出まであと1勝と迫った。

 試合は前半で17点をリードしながら後半に入って失速。第4Qの残り3分1秒、セインツのQBドリュー・ブリーズ(38)にこの日3つ目のTDパスを通されたところで20―21と試合をひっくり返された。

 バイキングスは残り1分29秒、ケイ・フォーバス(30)が53ヤードのロングFGを決めて23―21としたが、セインツは残り25秒にウィル・ルッツ(23)が43ヤードのFGを成功させて再逆転。バイキングスは自陣25ヤード地点から最後の攻撃を試みる崖っ縁に立たされた。

 しかも自陣39ヤード地点にたどりついたところで残り時間は10秒。第3ダウンでパスを通してFG圏内に入ったとしてもタイムアウトを使い切ったためにキッキング・チームをフィールドに送り込める時間がなくなっていた。

 ここでプレーオフで自身初先発となったQBケース・キーナム(29)は、右サイドを走るWRステフォン・ディッグス(24)にパス。一気にTDを狙ったパスではなく、ディッグスの能力にすべてを任せるかのようなパスだった。

 ここで奇跡が起る。ディッグスをマークしていたセインツの新人セーフティー、マーカス・ウィリアムス(21)はディッグスの背後から両手でタックルにいかずに体当たり。ところが標的は予想よりも高くジャンプしており、ウィリアムスの体は宙に浮いたディッグスの下を通過してしまった。

 ウィリアムスが両手でつかまえていれば少なくともディッグスはそこから前進することができなかったはずだが、完全に“スルー”してしまったためにディッグスは自由の身。ボールをキャッチして着地すると、体を反転させてエンドゾーンめがけて突進した。

 結局、時間が消滅する中で劇的な61ヤードのTDレシーブとなり6万6000人の地元ファンは歓喜して絶叫。第4Qで残り時間が「0」を表示した時に逆転TDが記録されたのは、NFLのプレーオフでは史上初めてとなった。

 歴史的な“逆転サヨナラTD”を決めたディッグスは「ファンの声援に感謝している。誰もあんな幕切れになるとは思わなかったと思う。でも自分は残り時間が0になるまで全力でプレーするつもりだった」と喜びを爆発。パスを投げたキーナムらと何度も抱き合って超ビッグプレーを振り返っていた。

 バイキングスがNFC決勝に進出するのは10回目だが、最後に勝ったのは1976年シーズン。以後、5連敗となっており、今季はなんとしてもそのトンネルから脱出したいところだろう。

 本来のエースQBサム・ブラッドフォード(30)をシーズン序盤に膝の故障で失いながら、ドラフト外入団で昨季ラムズに在籍していたキーナムの奮闘(この日は318ヤード、1TD)でレギュラーシーズンは13勝3敗。平均失点(15・8)と総合守備でリーグ1位、パス守備とラン守備は2位になるなど、強力なディフェンスもチームの武器となって快進撃を続けてきた。

 スーパーボウルは過去4度出場したが全敗。しかし今季は自分たちのホームでまだ“1試合”を行える権利があり、悲願のリーグ初制覇への期待が高まってきた。

 NFC決勝の相手は第1シードのイーグルスだが、エースQBのカーソン・ウェンツ(25)を膝の故障で欠いている状態。控えから先発に昇格したQBニック・フォールズ(28)は典型的なポケット・パサーでプレッシャーにはもろさを露呈することから、バイキングス守備陣にとっては勝機満載の一戦になるかもしれない。

 一方、敗れたセインツは意気消沈。2010年のスーパーボウルでMVPとなっているブリーズは40回中25回のパスを通して294ヤードの3TDを記録したが勝者にはなれなかった。

 後半はバイキングスを猛追。第4Qにはパントをブロックして逆転のTDにつなげるなど、その粘り強い戦い方は見事だった。それだけにラストプレーが悔やまれるところ。ショーン・ペイトン監督(54)は「立ち直るにはしばらく時間がかかるだろう」と、選手同様に肩を落として表情を曇らせていた。

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