稀勢“差し違え”負け 4場所連続初日● 再起へ波乱の船出

[ 2018年1月15日 05:30 ]

大相撲初場所初日 ( 2018年1月14日    両国国技館 )

貴景勝(左)にとったりで敗れ黒星発進の稀勢の里
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 4場所連続休場からの再起を目指す横綱・稀勢の里(31=田子ノ浦部屋)がいきなりつまずいた。新小結の貴景勝(21=貴乃花部屋)を左おっつけから攻めたが、土俵際で逆転のとったりを決められ、出場した4場所連続で黒星発進となった。セクハラ行為で出場停止となった立行司、式守伊之助の代役を務めた式守勘太夫はこの一番で行司軍配差し違え。不祥事に揺れた角界は、土俵上も波乱含みのスタートとなった。

 またしても同じ光景が繰り返された。結び前の一番で敗れた稀勢の里は、負け残りの土俵下でぶぜんとした表情を浮かべた。支度部屋の風呂から出てまげを直す際にも、何事かを考えている様子だった。報道陣の質問に対しては「また明日、しっかりやりますよ」「まあねえ、ここから」「明日は明日でしっかりやるだけ」と言葉少な。敗れた相撲は振り返らず、すぐに2日目を見据えた。

 目前で勝利を逃した。九州場所4日目に金星を与えていた貴景勝との一番。前回は防戦一方の末に突き出しで敗れたが、この日は突き、押しにしっかり対応した。後退した場面では左からおっつけて相手の上体を起こした。勝負どころとみて一気に出たが、ここで右腕をつかまれ捨て身のとったりを食らった。左手をつくようにして向正面に落下。式守勘太夫の軍配は稀勢の里に上がったが、物言いがついた末に、行司軍配差し違えとなった。

 再起を期す稀勢の里にとって、初日は鬼門になった。新横綱だった昨年春場所に2度目の優勝を飾りながら、13日目に左上腕などを負傷しながら土俵に上がり続けた代償は大きかった。夏場所から4場所連続休場。全休した秋場所以外は全て初日に敗れており、いずれも途中休場を強いられた。今場所に向けては、弟弟子の大関・高安との連日30番以上の稽古、尾車部屋や八角部屋への出稽古などで「戦える準備はできた」と手応えをつかんでいたが、簡単に勝たせてもらえなかった。

 腰痛などに苦しんだ昨年九州場所よりは状態がいい。初日を視察した横綱審議委員会の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)も「先場所に比べると力は戻っている」と話した。だが、八角理事長(元横綱・北勝海)の見方は違った。「苦しい場所というのは分かっている」と話した上で「(重さが足りないとか)言っても仕方ない。土俵に上がっているのだから」と出場を決めた以上は結果を出すことを求めた。2日目の相手は、やはり九州場所で敗れている北勝富士が相手。今場所の結果次第では来場所以降、進退問題に発展しかねない。和製横綱の試練は続く。

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2018年1月15日のニュース