【記者の目】カヌー禁止薬物混入 犯罪行為に等しく司法の手で厳しく罰せられるべき

[ 2018年1月10日 09:45 ]

カヌー 禁止薬物混入問題

禁止薬物混入が発覚した鈴木康大
Photo By 共同

 これまで30年以上にわたっていろいろなスポーツを取材してきたが、今回のような不祥事は初めてだ。鈴木選手がやったことはただのドーピングではなく、犯罪行為に等しい。ライバルを蹴落とすために使用された筋肉増強剤のメタンジエノンには、さまざまな副作用がある。もし小松選手の体質に合わなければ不測の事態に至った可能性も否定できない。これはもう反ドーピング教育とは全く別次元の話で、スポーツ界としての処分とは別に、司法の手でも厳しく罰せられるべきだろう。

 今回の不祥事によって、東京五輪のイメージが国際的に大きく傷ついたのは間違いない。東京での開催が決まって以来、日本オリンピック委員会と組織委員会は反ドーピングを最重要課題と位置づけ、日本選手のクリーンなイメージをアピールしてきた。その努力は、予想もしなかった形で水泡に帰した。イメージの回復は容易なことではない。

 東京五輪の代表争いはこれからさらに過熱してくる。今回のような不祥事は特殊な例だと信じたいが、地元開催ならではの競争や重圧が、今後も選手の思わぬ行動を引き起こす可能性がないとは言えない。強化の現場は難しい対応を迫られることになった。(編集委員・藤山 健二)

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