今季限り引退のバスケット大神雄子「もう一度チャンスがある」

[ 2018年1月8日 11:00 ]

今季限りの引退を表明している大神雄子
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 バスケットボールの全日本選手権は7日に全日程を終え、女子はJX―ENEOSの5連覇で幕を閉じた。今季限りの引退を表明している元日本代表の大神雄子が所属するトヨタ自動車は準決勝でJX―ENEOSに62―76で敗れた。「悔しいですよ。もうちょっと勝負したかった。走り込みでもウエートトレーニングでもこの試合のために準備してきたし、一発勝負だからこそ、チャンスがあると思っていたんで」。そう悔しがる大神の表情はどこか楽しげでもあった。

 大神のバスケットボール人生は挑戦の連続だった。大型選手が少なかった00年代の日本代表で、1メートル70の司令塔ながらスコアラーとして活躍。10年世界選手権では1試合平均19・1点で得点王にもなった。国内のJOMO(現在のJX―ENEOS)で活躍中の08年には日本人2人目のWNBA選手となり、その後、中国リーグでもプレーもした。15年からはかつてのライバル、トヨタ自動車に加入した。

 「(女子の)日本のバスケット界は移籍のハードルが高い。移籍がもっと自由になって、もっと盛り上がればいい。そんな雰囲気を作りたい」

 35歳となった昨秋、将来の指導者への転身も視野に入れ、今季限りでの引退を表明した。日本のバスケット界では珍しく開幕前に現役ラストシーズンを宣言したのは多くのファンにプレーを見てもらって、バスケット界を盛り上げたい思いからだった。そんな女子バスケット界のパイオニアが最後の挑戦として掲げるのが、かつて自らも所属した常勝軍団JX―ENEOSを打ち破ってのタイトル獲得だ。

 全盛時の爆発力はないが、ドリブルから急ストップしてのジャンプシュートなどテクニックは健在だ。練習では「ついていけるか。時に引っ張れるか」と若手に刺激を受けながら自らを追い込み、抜群のリーダーシップでチームをまとめている。12月のWリーグではJX―ENEOSに今季唯一の黒星をつけた。だが、皇后杯の懸かった今回のチャンスは「同じメンバーで5、6年プレーしているJXはブレないし、崩れない」と厚い壁に阻まれた。

 2月末のWリーグでは再びJX―ENEOSと対戦する。そして3月はプレーオフで10連覇を狙う女王と争う。選手としてはこの3カ月がラストチャレンジ。「集大成の1年はまだ半分。もう一度チャンスがある。どこまで追い込めるか。それが楽しみです」。大神の言葉はいつもエネルギーに満ちあふれている。(柳田 博)

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2018年1月8日のニュース