歩夢、異次元V ケガ乗り越えて完全復活!ソチ銀スノボ王子

[ 2017年12月11日 05:30 ]

スノーボードW杯ハーフパイプ第2戦決勝 ( 2017年12月9日    米コロラド州コッパーマウンテン )

男子ハーフパイプで優勝した平野
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 男子はソチ五輪銀メダルの平野歩夢(19=木下グループ)が2カ月後に迫った平昌五輪に向けて完全復活を果たした。3回の演技の最高点で争い、2回目に4回転の大技「フロントサイドダブルコーク1440」を決めて95・25点で優勝。ショーン・ホワイト(31=米国)ら強豪を抑え堂々の復活Vとなった。片山来夢(22=バートン)は4位。女子は冨田せな(18=新潟・開志国際高)が4位に入った。

 どこまでついてこられるものか。ライバルたちに挑戦状を叩きつけるような3回の演技だった。「他の人が全開でパフォーマンスしてもそれを上回れる、何も言わせない滑りを目指している」と貫禄すら漂わせ、平野は滑るごとに難度を上げていった。

 1回目にフロントサイドダブルコーク1260(縦2回転横3回転半)を決め、いきなり90・50点のハイスコアでトップに立った。2回目はそこに最高難度のフロントサイドダブルコーク1440(縦2回転横4回転)を組み込んだ。「結構忙しくて息を止めて滑ってるような感じ」という気の抜けない演技構成。しかし、この大技を実戦で初めて成功させた。

 これだけに終わらず「さらに圧倒的な滑りができれば」と最後の3回目は連続での1440に挑んだ。着地が決まらなかったとはいえ、他の追随を許さない“平昌五輪金メダルルーティン”を見せた。

 3月の大会では1440に失敗し、左膝の内側側副じん帯損傷に加えて腹部を強打して肝臓も痛めた。体の一部だったスノーボードからしばらく離れ、リハビリに明け暮れる日々。「常にスノーボードを履いて滑っていたので、自分の目の前にあるものがないように感じた」。まだ膝に痛みの残る5月におそるおそる練習を再開。「凄く長く感じた」という復帰への時間のうちに、かつて築き上げた自信が消えていくのを感じていた。

 それが9月の開幕戦で2位、今回は優勝を果たして「やっと自分のスノーボードが帰ってきたなという感触はある」とホッとしたように笑った。もちろんゴールはまだ先。今週のプロツアー、来週のW杯と連戦を踏みながら、平野はライバルたちをさらに大きく引き離しにかかる。

 ▽スノーボード・ハーフパイプ 雪を掘り下げた半円筒状のコースの中で演技する。競技者は左右を往復して、縁の部分でジャンプや回転などの演技を行い、技の高さ、難易度、完成度の高さ、技術など全体的な印象で採点する。98年長野五輪から正式種目に採用された。14年ソチ五輪では平野歩夢が銀メダル、平岡卓が銅メダルに輝いた。

 ◆平野 歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日生まれ、新潟県村上市出身の19歳。父・英功さんが地元でスケートパークを運営。4歳の時に兄の影響でスノーボードを始め、14歳で出場した13年Xゲームで準優勝。同年8月にW杯初出場初優勝。14年ソチ五輪ではスノーボード日本勢初の銀メダル。16年Xゲーム・オスロ大会優勝。新潟・開志国際高から今年4月に日大に進学した。スタンスは右足が前になるグーフィー。1メートル60、50キロ。

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