フェンシング協会・太田会長 競技人口拡大へ改革続々 7日から全日本選手権

[ 2017年12月7日 06:50 ]

笑顔を見せながらインタビューに応じる太田会長
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 日本フェンシング協会の太田雄貴会長(32)が、全日本選手権(7〜10日、東京・駒沢体育館)を前にスポニチ本紙のインタビューに応じた。異例の若さで会長に就任してから約4カ月。男子フルーレの五輪2大会連続銀メダリストは、全日本選手権で大胆な日程変更を行うなど改革を進める。大会の見どころやフェンシングの未来について、熱く語ってもらった。

 男子フルーレで五輪2大会連続銀メダル獲得など、日本フェンシング界をけん引してきた太田氏が大役を引き受けたのは8月11日だった。当時31歳。異例の若さで日本協会の会長に選出された。

 「すごく悩んだし不安もあった。でも、日本のフェンシングをもう1つ上の景色に持っていくためには、僕が適任かなとも思った。僕に必要だったのは腹をくくることだった」

 就任から約4カ月。11月の高円宮杯ワールドカップでLED照明を使った演出や、選手による観客へのルール解説を取り入れた。7日開幕の全日本選手権でも新たな試みとして、全6種目の決勝を最終日(10日)に集めた。競技開始から終了まで約3時間、次々と日本一が決まる。昨年までは各日に予選と決勝が混在し、観客の拘束時間が長かった。

 「朝から晩まで試合をやっていたら、お客さんの集中力も続かないし、予定も立てづらい。今年は、試合が始まる時間と終わる時間を確定させるという狙いがある。お客さんが見やすい方向に持っていきたい」

 太田会長によると、同じ駒沢体育館で開催された昨年の大会、決勝の観客はわずか150人だったという。今年はSNSなどで積極的に情報発信し、既に10日のSS席、S席は前売りで完売した。

 「今年は最終日に2000人にいったらいいな。お客さんが“おもしろい”と満足してくれるポイントがどこか1つあれば。まだ言えない部分もあるが、楽しんでもらえるような仕掛けがある」

 “オーディエンス・ファースト(観客第一)”から着手した太田会長は、協会トップとして“アスリート・ファースト(選手第一)”をこう捉える。

 「経済的な部分が大事と思う。マーケットとして認められるような、“食っていける”ような選手を輩出していくことが“アスリート・ファースト”なのかな、と」

 もちろん、観客は日本最高峰のプレーに熱狂する。太田会長に全日本選手権の見どころを聞いた。

 「男子フルーレは世界選手権銅メダルの敷根は残念ながらケガで欠場するが、銀メダルの西藤と松山に注目。女子サーブルは19歳の江村と27歳の青木の新旧対決がおもしろい」

 20年東京五輪に向け、11月のワールドカップと今大会は、重要なスタートと位置づけている。

 「五輪を成功させるためには、もう予行演習をしていかないと。長期的にはこれから10年で競技人口を今の6000人から5万人にしたい。ルールが分からなくてもフェンシングってすごい、楽しいって思ってもらえるようにしたい」

 現役時代は高速の剣さばきで世界と戦った。今は協会トップとして、迅速に改革を推し進める。フェンシングの明るい未来のために。

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2017年12月7日のニュース