白鵬 7時間半聴取、当事者日馬より長く 凶器は「リモコン」

[ 2017年11月29日 05:30 ]

事情聴取を受けた福岡市内のホテル前で、集まった報道陣の質問に答える白鵬
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 大相撲の横綱・白鵬(32=宮城野部屋)が28日、福岡市内のホテルで約7時間半にわたり、鳥取県警による参考人聴取を受けた。白鵬は横綱・日馬富士(33=伊勢ケ浜部屋)が鳥取市内で平幕・貴ノ岩(27=貴乃花部屋)に暴行した問題で現場のラウンジに同席していたため、経緯説明などを求められた。29日には日本相撲協会の危機管理委員会(高野利雄委員長・元名古屋高検検事長)の聞き取り調査を受ける。

 異様な雰囲気に包まれた。白鵬は宿泊していた福岡市内のホテルから数分の距離にある別のホテルに午前9時ごろ到着。50人を超える報道陣に囲まれながら、中に入っていった。出てきたのは午後4時半すぎ。約100人に膨れ上がった報道陣の前で、聴取を終えた横綱は静かに口を開いた。

 「自分が知ったものを全てお話ししました。あとは(日本相撲)協会と警察にお任せしたいと思います」

 休憩を何度か挟んでいたとしても、実に約7時間半に及ぶ聴取時間。これは17日に東京・両国国技館で任意の事情聴取を受けた日馬富士の約7時間を超えている。すでに県警の聴取を終えている加害者の日馬富士、同席していた横綱・鶴竜、関脇・照ノ富士、被害者の貴ノ岩らから聞き取った内容と、白鵬の証言を照らし合わせたことで時間を要したとみられる。当初、暴行の凶器とされたビール瓶の使用や事件のきっかけについては、関係者の証言に食い違いがあるとされ、慎重に事実関係を確認したもよう。聴取を終え、車に乗り込んだ白鵬はその後、八角理事長(元横綱・北勝海)の講話が行われる会場に向かった。

 捜査関係者によると、日馬富士は県警の聴取に「(カラオケの)リモコンで殴った」と話しており、ビール瓶の使用を否定している。白鵬は九州場所中の16日に「(日馬富士は)ビール瓶で殴っておりません。持ったのは持ちましたけど滑り落ちました」と報道陣に説明。リモコンについては触れていなかったが、この日の聴取では「カラオケのリモコンで殴っていた。自分が制止した」などと、日馬富士とおおむね同じ説明をしていたことが捜査関係者への取材で分かった。29日には危機管理委員会の聴取を受ける。

 関係者によると、聴取を受けた場所は、このホテルの宴会場。日本相撲協会が用意したという。また、同部屋の十両・石浦もこの日、別の場所で参考人聴取を受けたもようだ。これで県警は、酒席に同席した現役力士全員の聴取を終えたことになる。

 さらに県警は日馬富士や貴ノ岩の再聴取も検討している。捜査関係者によると、年内にも傷害容疑で日馬富士を書類送検する方針。九州場所を終え、暴行問題の全容解明に向け事態は動きだした。

 ▼大沢孝征弁護士(元東京地検検事)7時間半といってもトイレや食事、休憩もあるし、異例の長さということはない。目撃していた人が全て同じことを言うことはないだろうし、一つ一つの出来事を確かめながら調書はつくられる。社会的な事件になっているので、より慎重に参考人聴取を行ったということはあるだろう。

 【白鵬16日の発言】

 ――ビール瓶で殴っていないのは実際に見た?

 「はい。ビール瓶が滑り落ちたのを私その場で見ましたので、それは事実です」

 ――日馬富士が貴ノ岩を殴っている場面を目の前にして止めに入ったという形か。

 「ビール瓶が滑り落ちた時に自分がすぐ止めに入って部屋から連れ出しました。やっぱり物を持っては危ないので」

 ――日馬富士は張り手だったか、グーで殴ったのか。

 「それは私は…」 

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