元大関若嶋津の二所ノ関親方 路上で倒れ…緊急開頭手術、重体

[ 2017年10月20日 05:30 ]

二所ノ関親方
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 大相撲の元大関・若嶋津の二所ノ関親方(60=本名・日高六男)が19日午後4時15分ごろ、千葉県船橋市行田2丁目の二所ノ関部屋近くの路上で倒れていたところを通行人に発見され同市内の病院に救急搬送された。緊急で開頭手術を受けたが、脳挫傷とみられ意識不明となる重体。搬送先の病院には、おかみの、みづえ夫人(57)ら家族や相撲関係者が次々に駆けつけた。

 19日の午後4時15分ごろ、通行人からの通報で倒れていた二所ノ関親方が発見された。船橋署によると目立った外傷はなかったという。現場は車道と歩道の間に段差があり、車道側に体の右側を下にして横向きに倒れていた。近くには親方が運転していたとみられる自転車が倒れていたが大きな破損はなかった。警察関係者によると道路にスリップ痕がなかったことから二所ノ関親方が自転車を運転中に意識を失い転倒した可能性も含めて調べており、事件の可能性は低いとみられる。

 二所ノ関親方はこの日も弟子の稽古を見守り、午前9時ごろに自転車で日課でもある近くのサウナに向かった。その帰り道で転倒したが関係者によるとフラフラしながら自転車を運転している姿が近くの小学生に目撃されたという。

 発見時には話ができる状態だったというが、搬送先の病院にみづえ夫人ら家族や部屋関係者が駆けつけた時には意識はなかった。脳挫傷とみられ、脳の出血を取り除くために午後5時20分ごろから約5時間に及ぶ開頭手術を受け、そのまま集中治療室(ICU)へ。この時点では呼び掛けにも反応はなかった。みづえ夫人は関係各所に電話をしながら「まだ私たちも状況が分からなくて」とつらそうな表情で語った。

 部屋関係者は「倒れた経緯などの状況は詳しくは分からないが事故に巻き込まれた可能性はないと思う。今は無事を祈るだけです」と話した。集まった報道陣には二所ノ関部屋付きの湊川親方(元小結・大徹)が改めて状況を説明。「命に別条はない。親方に持病はなかったと聞いている」と話し、「(人工的な)昏睡(こんすい)状態。意識を戻すと血圧が上がって(再出血などの)支障が出るのではないか」と語った。

 現役時代は南海の黒豹(くろひょう)の異名で人気を博し、引退後も14年から協会の理事となり昨年からは審判部長の要職を任されている。湊川親方は「すぐ元気になって復活してくれると思う」と言ったが、全国の相撲ファンも同じ思いで回復を願っている。

 ◆二所ノ関親方(元大関・若嶋津、本名・日高六男)1957年(昭32)1月12日生まれの60歳。鹿児島・種子島出身。75年春場所で初土俵。大関・若嶋津として2度の優勝と年間最多勝1度を誇り、幕内通算515勝330敗21休。精かんな顔立ちで“南海の黒豹”の異名を取った。87年名古屋場所を最後に引退。年寄・松ケ根を襲名し、二子山部屋から独立して松ケ根部屋を起こした。12年に年寄・二所ノ関を襲名し、名称を二所ノ関部屋に変更。1メートル88、現役時代の体重は122キロ。夫人は元歌手の高田みづえさん。

 ▽脳挫傷 頭部に大きな力が加わるなどして、脳組織が損傷を受ける疾患。損傷の範囲が広いほど重傷となる。頭部の骨折、脳内出血を伴うことが多く、症状は意識障害、言語障害、激しい頭痛、めまい、吐き気、おう吐、まひ、けいれんなど。軽傷の場合は投薬などの保存治療、重傷の場合は止血や血腫(血の塊)除去などの外科手術が施されるが、後遺症が残るケースもある。

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