飯塚翔太 国体陸上で神対応 成績が「いい時に、いいサービスをすることが大事」

[ 2017年10月10日 18:11 ]

 国民体育大会の陸上競技最終日が10日にニンジニアスタジアム(松山市)であり、成年少年男子共通400メートルリレー決勝に出場した飯塚翔太(26=ミズノ)は静岡のアンカーで猛追を見せたものの、東京、大阪に次ぐ3位だった。レース後はいつものように、ファンの求めに応じてサインや写真撮影に時間を割いた。

 「(ファンサービスは)心に決めていることです。活躍しなくなってからではなく、(成績が)いい時に、いいサービスをすることが大事だと思っています。応援されることが走ることのモチベーションになりますから」

 前日はすっかり日が暮れた中、最後の1人まで対応していた。子どもから大人の女性まで、その数、50人はいただろうか。その前日の8日も振る舞いは同じだった。

 体のケアやレースへの調整があるため、全ての試合で要望に応えられるわけではないものの、基本姿勢はいつも同じ。ファンサービスの意識が低くない陸上競技においても、1メートル86の長身スプリンターの“神対応”は際立っている。

 リオデジャネイロ五輪とロンドン世界選手権で男子400メートルリレーはメダルを獲得した。9月には桐生祥秀が日本人初の9秒台をマークした。男子短距離界がかつてない盛り上がりを見せる今だからこそ、「ファンサービスがすごく大事。人気はきっと今がピークでしょう。だからこそ、この先出てくる未来の選手のためにも、今、競技を応援してくれる人を大切にしなくてはいけない。メダルを取った僕たちにはその役割がある」と、競技場を去るまでさわやかな笑顔を崩すことはない。

 短距離が活況を見せる一方、競技自体にはある逆風が吹いている。20年東京五輪の後、新国立競技場はトラックが撤去されて球技専用になる予定だ。多くの陸上関係者と同様に、“和製ボルト”の異名を取る男も胸を痛めている。

 「寂しいです。小学校の全国大会で、前の国立競技場で走った感動を僕は忘れていません。91年世界陸上でカール・ルイスが(9秒86の世界記録で)走ったところだって、誇らしくなりました。91年は、僕が生まれた年ですけど。あれが僕の原点。未来のオリンピアンである子どもたちにも、その感動を味わってほしいですが…」

 今季は100メートルで10秒08の自己記録を出したものの、本職の200メートルでは自己記録の20秒11に迫れなかった。来季の更なる飛躍、そして、陸上にもっと追い風が吹くように―。飯塚はきょうもペンを走らせる。

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2017年10月10日のニュース