優作 史上初72HノーボギーV、義父にささぐ 賞金も再び1位

[ 2017年10月9日 05:30 ]

男子ゴルフツアー ツアーワールド・カップ最終日 ( 2017年10月8日    愛知県豊田市 京和カントリー倶楽部=7190ヤード、パー71 )

ツアーワールド・カップ最終日 18番、4日間ノーボギーで優勝を決め、天を指さす宮里優
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 初日から首位の宮里優作(37=フリー)が4日間ボギーなしの通算22アンダーで、今季3勝目を完全優勝で飾った。記録が残る1985年以降、1大会でボギーなしの優勝は初の快挙。昨年病死した義父、小川正さんの命日にささげる勝利で賞金ランキングでも首位に浮上した。過去に選手会長を務めながら賞金王になった例はなく、偉業に向けて再び加速した。

 史上初の“ノーボギー優勝”が懸かった18番。宮里は50センチのパーパットを決めると、グリーン上で空に向かってパターと指を上げ、ボールにも軽くキスした。

 「ちょうど1年になるものですから。命日だった。いい風吹かせてくれました、と」

 昨年のこの日、義理の父で優作の応援団長を自認していた小川正さんが病で亡くなった。今大会直前の2日。名古屋市内の墓前を訪れ「いい風を」と手を合わせてきた。名古屋市内の自宅から車で15分の中日クラウンズ、故郷・沖縄での日本プロ選手権に続く今季3勝目。また愛知での勝利となり、天国から感じた力に感謝せずにいられなかった。

 3日間ボギーなしで迎えた最終日はプレッシャーとの闘いだった。この日は午前3時に目が覚めた。1番は得意のショットで1メートルに寄せバーディー発進。最高の滑り出しにも「途中からボギーを打たないようにしている自分がいた」という。3番では2・5メートル、9、11番でも3メートルのパーパットが残った。だが、今大会安定しているパットを信じ「3パットでもいい」と開き直り切り抜けた。「(パットは)左足に軸をつくる打ち方が4日間できた」と頷いた。

 優勝インタビューでは開口一番「疲れました」と吐露した。記録の重圧から解放された安堵(あんど)感が、自身初めて初日から首位を守った完全優勝の感激を上回っていた。

 本来、バーディーもあればボギーもある攻めのゴルフが持ち味。だからこそ、安定感でもぎとった今季3勝目は価値がある。「こういうゴルフもできる、と自信になった。ノーボギーで回った経験が、(ツアー)後半戦に生きてくる」

 賞金ランクでも首位に返り咲き、現役選手会長として初の賞金王へ向け、大きな引き出しも得た。次戦は国内メジャー最終戦の日本オープン(12日開幕、岐阜関CC)。「賞金王を狙うにはもっといいゴルフをしないと」。狙うは2週連続優勝だ。

 【勝者のクラブ】▼1W=ピン・G400(ロフト角8.5度、シャフトの長さ45インチ、硬さTX)▼3W=同・G(14.5度)▼2UT=同・G400(17度)▼4I〜PW=同・i200、PW=ブリヂストンスポーツ・ツアーB XW―1▼ウエッジ=同・ツアーB XW―1(52、59度)▼パター=タイトリスト・スコッティキャメロン▼ボール=ブリヂストンスポーツ・ツアーBX

 ≪「ボギー多い」長女“注文”効いた?≫宮里の妻・紗千恵さん(40)と2人の子供は、一周忌法要を終えてから駆けつけた。紗千恵さんによると、長女がパパに「ボギーが多い」と注文をつけていたと言い、宮里も「それがよかったのかも」とアシストに感謝した。また、9月に引退した妹の藍さんも連日、LINE(ライン)でエールを送信。兄は「イケー、とかヤレーとか、スタンプ攻撃です」と内容を明かし、「宮里家も露出が少なくなった。ぼくが頑張らないと」と気持ちを新たにしていた。

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