ラグビー日本W杯まであと2年…求められるノンキャップ組の台頭

[ 2017年9月20日 09:15 ]

ラグビー日本W杯まであと2年

大卒1年目ながらチームの主将を務めるトヨタ自動車・姫野
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 ラグビーW杯日本大会開幕まで2年となった。日本代表は15、16日に東京都内で代表候補選手47人を集めて合宿を実施。世界ランキング5位のオーストラリアなどと対戦する11月へ向け、選手選考が進む。W杯は選手ならば誰もが目指す大舞台だが、実は2年前にあたる今年中に代表キャップを獲得することが、本番でメンバー入りするための指標となっている。そこで現時点ではノンキャップながら、2年後に活躍が期待される選手に注目した。

 「彼は日本代表になる素質の全てを持っている、突出した選手だ。南アフリカにはエツベスやデュトイのような弱冠21、22歳で50キャップを持っている選手がいるが、彼らと同等レベルだと思う」

 2007年、南アフリカをW杯優勝に導いたジェイク・ホワイト氏(現トヨタ自動車監督)にそう言わしめたのが、FW姫野和樹(23)だ。その名将は大卒1年目の姫野をチームの主将に抜てき。さっそく今季のリーグ戦では全4試合に先発フル出場。8月26日の近鉄戦(金鳥スタ)では力強い突進とリアクションの早さで2トライをマークした。

 チームでは左フランカーが持ち場だが、先の代表候補合宿ではロックとして声が掛かった。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)との面談では「現状でロックに80分間走れる選手はいない。背丈(1メートル87)は気にしない」と言われたという。身長は国際レベルの第2列に比べて低い。ただ豊富な運動量や母校・帝京大の岩出雅之監督が事あるごとに「プロレスラーのよう」と称えた体格は、世界で通用する可能性を秘める。姫野も「ロックだけど運動量を買われている。両方できるのが強みなので、アピールしていきたい」と言葉に力を込めた。

 実は日本代表として活動するのは、今回が初めてではなかった。大学1年だった13年夏、当時のエディー・ジョーンズHCの眼鏡にかない、代表合宿に初参加。ところが初日の練習で左足の中足骨を骨折して離脱し、その後ケガとの闘いが続いた。帝京大の1軍で初先発したのは4年春。表舞台に出てくるのは遅れたが、雌伏の時間を無駄にしなかった。

 「今年に懸ける思いはあります」と、姫野自身も気持ちを強く持つ。この秋に桜のジャージーに身を包むことが、2019年への第一歩となる。

 《バックス》今春にサンウルブズで活躍したWTB/FB江見翔太(サントリー)はハイボールに強く、独創性の強いランプレーが魅力。昨季トップリーグMVPのWTB中鶴隆彰(サントリー)、リオ五輪で活躍したWTB後藤輝也(NEC)も、自慢の足を生かす技術や判断力が備われば面白い存在だ。SH以外ならこなせる森谷圭介(パナソニック)、高校時代に代表合宿に参加経験があるCTB梶村祐介(明大)も力を秘めている。

 《外国出身選手》ラグビー界特有の3年居住ルールをクリアし、この秋に日本代表資格を得たのがニュージーランド出身のFBアンドレ・テイラー(宗像サニックス)。12年にはスーパーラグビーのトライ王を獲得しており、実力は折り紙付きだ。来年にはこのルールをクリアする見込みのサム・ワイクス(パナソニック)、ヴィリー・ブリッツ(NTTコミュニケーションズ)はすでにサンウルブズで活躍しており、ロック陣の層の薄さを解決してくれそう。FW第3列に加えてWTBもこなせるアマト・ファカタヴァ(大東大)も爆発力を秘めている。

 《FW》韓国出身で、中学時代に来日した右プロップ具(グ)智(ジ)元(ウォン)(ホンダ)は強みのセットプレーに機動力も備わり、7月にはサンウルブズでもデビュー。もはや初代表は秒読み段階で、3番の筆頭格も狙える存在だ。フッカー中村駿太(サントリー)、ケガでトップリーグデビューが遅れているロック飯野晃司(サントリー)も楽しみな存在だ。

 ◆姫野 和樹(ひめの・かずき)1994年(平6)7月27日生まれの23歳。愛知県名古屋市出身。名古屋・御田中からラグビーを始め、春日丘高(現中部大春日丘高)では高校日本代表、ジュニア・ジャパンも経験。13年4月に帝京大に入学し、ロックやフランカーとしてプレー。今年4月にトヨタ自動車入りし、ルーキーながら主将に任命された。父は元競輪選手。1メートル87、108キロ。

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