貴景勝、初金星 貴乃花師匠超えた19場所目「頭が真っ白」

[ 2017年9月20日 05:30 ]

大相撲秋場所10日目   ○貴景勝―日馬富士● ( 2017年9月19日    両国国技館 )

<秋場所10日目>日馬富士(右)をはたき込みで破った貴景勝
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 幕内最年少21歳の平幕・貴景勝が横綱・日馬富士をはたき込みで破って初金星を奪取した。初土俵から19場所目での金星は、師匠の貴乃花親方(元横綱)が91年夏場所でマークした20場所目を上回り、史上7位のスピード記録となった。日馬富士は1場所4個目の金星配給で4敗目。1敗の大関・豪栄道が単独トップを守り2敗は平幕・千代大龍だけとなった。

 座布団が舞っても32本の懸賞を受け取っても土俵上の貴景勝に喜びは込み上げてこなかった。「頭が真っ白すぎて何を考えているか分からなかった」。NHKのインタビュールームに入ってようやく「うれしいです」と4度目の横綱挑戦での初金星を実感した。

 余計なことを考えず自分の相撲に徹した。日馬富士はまわしを取ろうと何度も低い体勢で当たってきたが、徹底して下から突き起こした。相手が張ってきたところでタイミングよく体を開くと、横綱は土俵に落ちた。「(内容は)あまり覚えていない。胸を借りるつもりで思い切りいった」。横綱初挑戦の名古屋場所は対戦した3横綱に歯が立たなかったが、自分の相撲を貫き金星につなげた。

 師匠の貴乃花親方の初金星は初土俵から20場所目の91年夏場所初日。千代の富士に土をつけた。31回の優勝を誇る大横綱はその2日後に引退し、世代交代を印象づける一番となった。貴景勝はそれを上回る19場所目での初金星。「まだまだ相撲人生はあるが、一つのターニングポイントになったのかな」と捉えた。

 貴乃花親方は弟子たちに「負けて覚える相撲は存在しない」と教えている。「負け方を覚えてもしょうがない。勝つことを覚えることで地力がつく」からだ。貴景勝には「ここを勝ち上がっていかないと未来はない」とまで言い切っていた。期待しているからこその厳しい言葉だが、愛弟子は師匠超えという結果で応えた。

 今場所は同い年で仲のいい阿武咲が横綱初挑戦で金星を挙げるなど活躍している。「自分もという気持ちはあったが、それでどうこうじゃない」という。結果が全ての世界。「まだ明日があるから」と勝利の余韻に浸ることなく終盤戦を見据えた。

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