藍 涙の最終戦、惜しみない拍手やまず 自身に「お疲れさま」

[ 2017年9月18日 05:30 ]

米女子ゴルフツアー エビアン選手権最終日 ( 2017年9月17日    フランス・エビアン エビアン・リゾートGC=6479ヤード、パー71 )

エビアン選手権最終日 最後まで我慢していたが…現役最後のラウンドをホールアウトし涙ぐむ宮里藍
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 宮里藍(32)は73で回り、通算1オーバーの32位で現役最後の18ホールを終えた。メジャー挑戦53戦目。悲願は果たせなかったが、誰からも愛された“藍ちゃん”に惜しみない拍手が送られた。1打差の2位から出た上原彩子(33)は75と崩れ通算4アンダーで10位。アンナ・ノードクイスト(30=スウェーデン)が通算9アンダーで並んだブリタニー・アルトマレ(26=米国)とのプレーオフを制して優勝した。

 ラストパットはゆるやかなフックラインを描いた。約1メートルのパーパットが静かにカップに沈むと、必死にこらえようとした涙があふれた。18番グリーンを取り囲んだギャラリーからは万雷の拍手。宮里は右手を振って歓声に応えた。「サンキュー」。小さくつぶやいて、現役最後の舞台を後にした。

 「(プロ生活)14年間、毎週のように重圧の中で戦ってきた。心身ともに、頑張ってきた。お疲れさまと(自分に)声を掛けてあげられたら」

 現役最後のラウンドは耐えてパーを重ねたが、5番パー3でティーショットを右に曲げてバンカーへ。アプローチも4メートルと寄らずにボギーを叩いた。6番パー4は3パットで連続ボギー。だが、崩れはしなかった。パー5では正確にフェアウエーを捉えて、9番では4メートル、15番では2メートルを沈めてバーディーを奪った。

 最終18番。1Wでのティーショットを正確にフェアウエーに運んだ。200ヤードからの第2打はグリーンの手前の小川を臆せず果敢に攻めた。「グリーン奥にヤニ(・ツェン)とポーラ(・クリーマー)が見えた。泣いてショットが打てなくなると思って、あまり見ないようにしていた」。アプローチは1メートルにピタリ。「私らしいパーセーブだったと思う」と胸を張った。ホールアウト後には男子ゴルフのレジェンド、ゲーリー・プレーヤー氏から花束を贈られた。「いろいろな人に支えられて完走できた」と感慨に浸った。

 今後については「今は何も浮かばない」と話し、現役復帰を問われると「ゼロどころかマイナスくらい、ない」と笑った。何らかの形でゴルフに携わるつもりで「これからの人生の方が長い。私がプロゴルファーであることは変わらないし、少し休んだらやりたいことはいくらでも出てくると思う」と語った。

 03年9月の高校生Vから5103日。「ケガがあったりメンタルコントロールがうまくいかず悩んだり。何かしらみんな乗り越えている。ゴルフは難しいけれど、みんなそれを乗り越える力があると思う」。次のステージへ歩みだす自分自身を励ますように語り、誰もが魅了された“藍スマイル”を輝かせた。

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