障がい者スポーツの興行化へ 2020年へ車いすバスケの挑戦

[ 2017年9月6日 10:30 ]

車いすバスケットボールのワールドチャレンジ・カップの日本―英国戦を有料席で観戦する観客ら
Photo By 共同

 車いすバスケットボールの新設の国際大会「ワールドチャレンジカップ2017」が8月31日から3日間、東京体育館で開催された。今回、障がい者スポーツでは珍しく観客席の一部を有料化。コートサイドのアリーナ席約1000席を前売り券1次リーグ800円、決勝・3位決定戦1300円で販売した。チケットが全席有料となる20年東京パラリンピックへ向けて、障がい者スポーツの興行化という新たなチャレンジだった。

 結果は1日目の有料入場者(カッコ内は無料含む全体の入場者)は531人(1724人)、2日目560人(3575人)、最終日705人(2380人)。完売、満席とはならなかった。だが、初めての試みとしてはまずまずの入りだったと言えるのではないだろうか。試合中のアナウンスなどの演出は従来より華やかで、運営サイドも力が入っていた。日本代表の及川晋平監督は「2020年を想像させてくれる演出や会場の雰囲気の中で、選手は力を出すことができた。いい経験になった」と語り、選手たちにとっても3年後のイメージ作りにプラスになったようだった。

 今大会は日本チームの奮闘も光った。対戦相手の3カ国はいずれも格上だったが、1次リーグ1勝2敗。リオ・パラリンピック3位の英国戦では9点差を追った第4Qで相手を5分30秒間無得点に抑えて、一度は逆転した。最後は力負けしたが、会場を沸かせた。3位決定戦では欧州王者のトルコに1次リーグに続いて快勝した。

 日本は9位に終わった昨年のリオ・パラリンピック後、U―23世界選手権で4位となった若手が台頭。19歳の鳥海、21歳の古沢らの機動力を生かし、積極的な守備からの速攻を武器とするチームに生まれ変わった。コートを縦横無尽に駆け回る鳥海は「(守りで)引いてしまうと相手の高さが有利に働くので、ゴールから遠いところで止めて、ミスを誘えるように前からガツガツ当たっている」とそのプレーの狙いを説明する。もともと車いすバスケの魅力としてスピード感や激しさを挙げる人は多いが、今の日本のプレーはその部分がより強調されている。

 お金を払ってでも見たいという観客を今後どう増やすか。難しい課題だが、選手たちには今の日本のスタイルを追求していってほしい。面白いと感じるファンは多いと思う。(柳田 博)

続きを表示

2017年9月6日のニュース