新井は金すら通過点 メダル逃した2年前より進化も「課題」

[ 2017年9月3日 05:30 ]

柔道世界選手権第5日 ( 2017年9月1日    ハンガリー・ブダペスト )

女子70キロ級決勝、プエルトリコのペレス(手前)を破り初優勝した新井
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 2年前、日本の女子個人戦代表で、ただ一人立てなかった表彰台。首に金メダルを下げ、日の丸を見上げた新井は「やっと立てた。何が何でも、あそこに立ちたかったので。でも普段の国際大会と(景色は)あまり変わらないかな」と笑った。

 初戦から硬さはあったが、勝ち上がる強さがあった。2回戦は大内刈り、3回戦は小内刈りと得意の足技でポイントを奪い優勢勝ち。準々決勝はゴールデンスコアの延長4分すぎに指導数で並ばれたが、組み手で圧力をかけ相手指導を誘った。

 恵まれた体格で早くから将来を嘱望されたが、リオ五輪は田知本遥と最後まで代表の座を競いながらも、最終選考会の選抜体重別での直接対決に敗れ、夢はついえた。自分に足りなかったものは何か。「苦手克服に取り組まないとか、取り組んでも中途半端なところがあった。その意識を変えた」。本来の左組みだけでなく右組みの練習もした。筋肉量を増やし体幹も鍛えた。

 そして最も重点を置いたのが、田知本に敗れる原因にもなった、どんな状況でも投げきる技術だ。リオ五輪銀、世界選手権3度優勝のアルベアル(コロンビア)との準決勝では踏ん張る相手を根こそぎはね上げ内股で技あり。「どこを持っても掛けられるように」練習してきた成果を発揮し、決勝は強化した寝技で勝負を決めた。

 「あの悔しさは他の大会では晴らせない」という舞台で、2年前の雪辱を果たした。ならば1年前、リオで田知本が金メダルを獲得した時に湧き出た悔しさも、3年後の東京でしか晴らせないはず。「新たな課題も出たのでもっと高めて、一つ一つの大会を確実に獲っていく」。視線はすでに前を向いていた。

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