【上水研一朗の目】橋本は右技磨けば「大野1強」崩せる存在に

[ 2017年9月1日 08:40 ]

柔道世界選手権第3日 男子73キロ級決勝   ○橋本 優勢 オルジョイ● ( 2017年8月30日    ハンガリー・ブダペスト )

男子73キロ級決勝でルスタム・オルジョイ(左)を破り優勝した橋本壮市
Photo By 共同

 73キロ級を制した橋本は大学時代からケガに強い選手だった。試合前日に歩けないほどのケガを負った1年時の学生体重別選手権も、81キロ級で準優勝したほどだ。むしろ心配したのは精神面の方で、流れが来ない時間帯をどこまで我慢できるかが勝負の分かれ目と思われた。初戦の2回戦で技ありを先に取った後に取り返されて危ないと感じたが、粘り強くゴールデンスコアでこの試合を切り抜けたことで乗っていった。

 昔はただがむしゃらに練習すればいいというタイプ。得手、不得手の差が激しく、苦手な相手にはなすすべもなく敗れることもあった。社会人になってよく考えて練習に取り組み、そういった弱点を消した点が彼の成長だろう。

 1つ上の階級を経験していることで、受けの強さや上背のある選手も嫌がらないという点は今後も武器になる。まだまだ右技は本物ではなく、大外刈り、大内刈り、寝技を磨けばもっと飛躍できる。絶対王者の大野にとっても、1強より同学年のライバルがいる方が燃えるであろう。中矢力、ユニバーシアード覇者の立川新らとともに切磋琢磨(せっさたくま)してほしい。(東海大体育学部武道学科准教授、男子柔道部監督)

続きを表示

2017年9月1日のニュース