大坂 前年覇者撃破、女子2度目の歴史的金星 集中途切れず

[ 2017年8月31日 05:30 ]

テニス全米オープン第2日 女子シングルス1回戦   大坂2―0ケルバー ( 2017年8月29日    米ニューヨーク・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

ケルバーを下した大坂はパワーで押し込み22本の決定打をマークした
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 女子シングルス1回戦で、世界ランキング45位の大坂なおみ(19=日清食品)が昨年覇者で世界6位のアンゲリク・ケルバー(29=ドイツ)を6―3、6―1で破る金星を挙げた。全米前年覇者の初戦敗退は女子では2度目、男子を含めても3度目という歴史的なアップセット。大坂はトップ10選手に10度目の挑戦で初勝利を収め、2年連続で初戦を突破した。また、雨天順延となっていた男子シングルス1回戦で世界ランキング44位の杉田祐一(28=三菱電機)は、30日に第3セット途中から再開して勝利し、ダニエル太郎(24=エイブル)とともに2回戦に進んだ。

 第1セットを奪い、第2セットも4―1とリードした。この時、大坂の中に思い出したくない感覚が湧き上がってきた。「去年と同じような緊張がきた」。それは悪夢の予感だった。

 昨年の3回戦、同じセンターコートで当時9位のキーズ(米国)を最終セット5―1まで追い詰めた。ところが、あと一歩から大逆転負け。我を失い、試合中に叫び、べそをかいた。「去年みたいにはなりたくなかった。ナーバスになりすぎないように自分のプレーに集中した」。つらい経験を糧に気持ちを落ち着かせると、2ゲームを連取。わずか1時間5分で決着をつけた。

 今季だけでトップ10と7度対戦し、ウィンブルドンでは憧れのV・ウィリアムズ(米国)との試合も経験した。上位陣との対戦にも舞い上がることなく、この日は左利きの元世界1位のケルバーをパワーで押し込み、サーブはワイド、リターンは中央に放つ戦術を徹底。決定打は相手の9本を大きく上回る22本を数えた。

 大会公式サイトによれば、前年覇者の初戦敗退は第1回までさかのぼっても男女通じて3度目。大きなサプライズを演出した。大坂自身にもうれしいサプライズがあった。1年前は4大大会初観戦だった母・環さんの前で黒星。大坂に重圧をかけまいと、今年は環さんが内緒で前日にフロリダからニューヨーク入り。試合後に対面したといい「凄くびっくりした。ちょっと涙が出ちゃった」と母の祝福を喜んだ。

 すでにトップ10のうち3人が敗退し、近年の混戦模様に拍車をかける今大会の展開。元世界1位を破った大坂も、主役になれる可能性を証明した。

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