ボルダリングW杯 男子エース楢崎智攻めて2位、総合も2位に

[ 2017年8月21日 05:30 ]

スポーツクライミングW杯ボルダリング最終戦 ( 2017年8月19日    ドイツ・ミュンヘン )

ボルダリングW杯最終戦男子決勝で2位に入った楢崎智
Photo By 共同

 決勝が行われ、男子は楢崎智亜(21=栃木県連盟)が2位、石松大晟(20=熊本県連盟)が3位に入った。楢崎智と石松はともに4課題のうち3つを成功したが、楢崎智は完登に要したトライ数が少なかった。石松は自身初のW杯表彰台。女子の野口啓代(28=茨城県連盟)は3位だった。シーズン総合順位も決まり、男子は昨季王者の楢崎智が2位、女子は野口が3位となった。

 今季4度目の2位だったが、これまでとは意味合いが違った。男子のエース、楢崎智は「自分を解放できたというか、チャレンジャーとしての自分を思い出せた」とうなずいた。失いかけていた積極的な姿勢を取り戻せたことが収穫だった。

 10歳で競技を始め、15年にアジアユース選手権マレーシア大会で優勝。その後も順調に成長を重ね、昨季はW杯総合を制し、世界選手権でも頂点に立った。だが、世界一の称号を背負った今季は「攻め切れないところがあった。確率的に落ちにくい(動きの)選択をしてしまっていた」と守りの姿勢に入っていたという。

 しかし、この日は違った。腕の長さを生かして優勝した地元ドイツのホイヤーがただ一人成功した第2課題が勝負の明暗を分けたが、それ以外の3つの課題に限れば、ホイヤーよりも少ないトライ数でクリア。最終課題は傾斜のきつい壁だったが、遠くのホールド(突起物)に跳びついて完登につなげる持ち前の瞬発力を発揮し、ドイツ人で埋まった会場を沸かせた。

 シーズン最終戦で本来の姿を見せた21歳の第一人者。来季の目標を問われると「世界選手権2連覇と、もう一度(W杯の)年間チャンピオンを取り戻すこと」と鋭い視線で言った。

 ▽ボルダリング さまざまな形のホールドが付いた高さ約3〜5メートルの壁を登る。複数の課題(コース)に挑んで完登した数を競う。途中で落下しても制限時間内であれば何度でもトライできるが、完登数で並んだ場合は完登に要したトライ数の少ない選手が上位となる。スポーツクライミングの種目は他に、登った高さを競う「リード」、登る速さを競う「スピード」がある。2020年東京五輪では各選手が3種目全てに臨み、各種目の順位を掛け合わせたポイントが少ない選手が上位になる。

続きを表示

2017年8月21日のニュース