川内9位 有終入賞まであと3秒 転んでも“不屈の魂”示した

[ 2017年8月7日 05:30 ]

陸上・世界選手権第3日 男子マラソン ( 2017年8月6日    英ロンドン )

必死にゴールし前のめりに両手をつき立ち上がる川内
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 男子マラソンの川内優輝(30=埼玉県庁)は、2時間12分19秒で日本勢最高の9位だった。中本健太郎(34=安川電機)は10位、井上大仁(24=MHPS)は26位。ジョフリー・キルイ(24=ケニア)が2時間8分27秒で優勝した。

 日本代表最後のレースも波瀾(はらん)万丈だった。転倒あり、左太腿が水ぶくれになるほどの看板との衝突あり、さらには給水にも失敗した。目標の8位入賞に3秒届かなかった。それでも川内は涙の後に笑った。

 「しょせん9位と言われても、過去の順位と比べて、ようやく出し切れた」

 最初の5キロが15分59秒のスローな展開。徐々にペースが上がり、20キロから25キロはアフリカ勢3人によって14分28秒になった。日本勢はここで脱落。公務員ランナーは23キロ付近で転倒したが、その目は死んでいなかった。

 過去2度の大会はいずれも18位。「沿道に散った家族に順位を教えてもらった。17位と聞こえた。もう17とか18は嫌だった」。25キロ地点では20位だったが不死鳥のように復活して41キロ付近で中本を抜いて9位に。初めて1桁順位を得た。

 毎週のようにレースに出場する“走る常識破り”が今年初めて科学の力を頼った。日本陸連の科学委員会に汗の成分分析を依頼。その結果、汗に含まれる鉄分の成分が多いことが分かった。「普段から鉄分のサプリメントを多く取って貧血を防ぎました。夏場に調子が悪かったのは汗をかいて貧血気味だったからかもしれない」。根性と科学を融合させて臨んだ代表最後のレースだった。

 「(前回出場の)13年と比べて今年はかなりいい水準ができていると思った」。自信を持って挑んだ31回目の海外フルマラソンで完全燃焼した。「責任は重い」と代表にもう未練はない。最強の市民ランナーとして、世界を走り続ける。

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2017年8月7日のニュース