サニブラウン 記録ずくめ予選突破、向かい風で自己タイ10秒05

[ 2017年8月6日 05:30 ]

陸上世界選手権第1日 男子100メートル予選 ( 2017年8月4日    英ロンドン・ロンドン競技場 )

世界陸上男子100メートル予選 準決勝進出を果たしたサニブラウン(左)
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 侍ランナーズが快挙を果たした。4日に開幕し、男子100メートル予選でサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)、多田修平(21=関学大)、ケンブリッジ飛鳥(24=ナイキ)が五輪を含めた世界大会で、この種目初めて日本勢3人が準決勝に進んだ。サニブラウンは、10秒05(向かい風0・6メートル)の自己タイ記録をはじめ、記録ずくめ。15年大会に続いて大舞台で力を発揮した。

 はじめの3歩が肝だった。「どうしてもノソノソ出てしまう」というサニブラウンは、この8カ月余り、スタートを特に磨いた。号砲反応タイム0秒167は2組最下位。だが、すぐにエンジンがかかった。向かい風0・6メートルと全6組で最も恵まれない条件でも関係ない。あっという間に先頭に立ち、11年王者のブレークも引き離す余裕の1位通過。予選全体6番目、ボルトよりも速い、堂々の走りっぷりだった。

 秋のフロリダ大入学まで、1月からオランダ代表のコーチもするレイダー氏(米国)に師事する。数々のメダリストを手掛けた名伯楽も原石の課題に着手した。「最初の3歩に注力した。そこで乗れれば、流れにも乗る」。素早く脚を回転するように矯正をすると、目でも学ばせた。

 6月上旬、リオデジャネイロ五輪女子走り幅跳び金メダルで、世界的スプリンターでもあるバートレッタ(米国)を練習相手にした。男子に女子を組ませる奇策は成功。18歳は「米国の400メートルリレーの1走で、世界一、1走が速いと言われている。スタートがめちゃくちゃ速い。脚さばきが参考になる」と声を弾ませて効果を口にした。

 予選2日前。ロンドン競技場の室内走路で、2人はスタート練習を重ねた。姉貴分がいたからこそ今がある。

 技術の進歩はもちろんだが、大舞台での強さは、力みや気負いを感じさせない大胆不敵さにある。「時間があるので、眠くなったらホテルのベッドにゴロン。過ごし方は2年前と同じですよ」。この日も「逆に緊張しなくて大丈夫かなという感じ」と落ち着いていた。

 200メートルに出た15年は、当時の自己記録に0秒01と迫る20秒35で予選を突破し、今回は100メートル自己タイ記録の10秒05を出した。リレーを含め、3種目での活躍が期待される夏。はじめの一歩は、百点満点だ。

 《優勝オッズ!?8番人気》サニブラウンの予選での快走ぶりがオッズも動かした。英大手ブックメーカーのウィリアムヒルでは、ボルトの1・28倍、コールマンの4・5倍、ガトリンの11倍には及ばないものの、サニブラウンは101倍ながら全体8番人気に浮上。なお、多田とケンブリッジは501倍だった。

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2017年8月6日のニュース