【高野進の目】サニブラウン さらなる進化、一段と増した加速

[ 2017年8月6日 05:30 ]

陸上世界選手権第1日 男子100メートル予選 ( 2017年8月4日    英ロンドン・ロンドン競技場 )

世界陸上男子100メートル予選 準決勝進出を果たしたサニブラウン(左)
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 サニブラウンは6月の日本選手権の時よりも走りが良くなっている。スタートの反応は速いとは言えないが、わずか7歩弱で進んだ10メートルまでの加速が一段と増していた。以前はスタートからの加速で腰が抜けてちょこちょこした走りになっていたが、今は広いストライドかつ低い姿勢でしっかりと地面を捉え、接地とは逆の足も後ろに残らずポイントを前に置いている。飛び出して追い付かれそうになったらさらに加速するという「スピード曲線」はまさにファイナリストや9秒台のそれだった。

 精神面も18歳と思えない。大舞台で予選から自分の走りができる選手は世界的に見ても特殊。国内大会より世界大会の方が彼にはしっくりきている。既に9秒台を出す可能性は十分にあるがまだまだ成長の余地はある。

 初の世界大会で準決勝に進出した多田も立派。50メートルまで力まずに走れば記録はまだまだ短縮できるし、決勝の壁が近づいてきていることが実感できるだろう。一方で、ケンブリッジはスタートからの流れがうまくいっていないように感じた。(男子400メートル日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

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2017年8月6日のニュース