大橋 女子200個人メドレー銀、新星が日本新でメダル1号

[ 2017年7月26日 05:30 ]

水泳世界選手権第11日 ( 2017年7月24日    ハンガリー・ブタペスト )

世界選手権女子200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得し、表彰式で笑顔の大橋
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 競泳女子200メートル個人メドレー決勝で、初出場の大橋悠依(21=東洋大)が2分7秒91の日本新記録で銀メダルを獲得した。準決勝8位で残った決勝の大舞台で自己ベストを2秒05更新し、日本の今大会メダル1号。急成長する遅咲きの新星が衝撃的な世界デビューを飾った。

 新ヒロインは整った顔立ちに似合わず、ずぶとい神経の持ち主だ。大橋は準決勝8位での滑り込みを「一番先に入場してスタートまで時間がある。(端のコースで)周りを気にせず泳げる」とプラスに捉えていた。スタート前にリオ五輪3冠の地元スター、ホッスーへの大歓声も「なんか凄いな〜って、逆に落ち着けました」と聞き流した。初めての決勝の大舞台でも自分を見失うことはなかった。

 最初のバタフライで3番手につけ、得意の背泳ぎで2番手に浮上した。苦手だった平泳ぎでもホッスーに0秒01と迫るラップで順位を落とさない。圧巻は最後の自由形。「もしかしたら(メダル)と思って、腕も手もちぎれてもいいぐらい回しました」。ホッスーに食らいつき、3位以下を大きく突き放した。自己ベストを2秒05更新しての2位。「ビックリしました」と水面を叩いて喜んだ。

 ラスト50メートルのラップタイムは全体トップの30秒28だった。準決勝から1秒30も短縮。「(準決勝は)思いきりはいかなかった」と言う。平井伯昌コーチは大胆にも決勝まで力を温存した愛弟子を「彼女は流しの天才」と冗談半分で絶賛。「8秒台を出せたらいいと思っていた。あれが大橋悠依」と想像を超える勝負強さを称えた。

 昨季まで無名だった1メートル73の大型スイマー。4年前、滋賀・草津東高3年の時、平井コーチから誘われた。「練習についていけるか」不安だったが、「君を強くしたい。リオは無理だが、東京五輪を目指そう」の言葉に東洋大進学を決めた。貧血による体調不良を、服薬やサプリメントの摂取で乗り越え今季は急成長を続けている。

 最終日(30日)の400メートル個人メドレーは今季世界ランク1位。「いい経験になりました。落ち着いて泳いでメダルを獲りたいなと思います」。200メートルのレース前は口にしなかったメダル奪取をはっきり宣言。20年東京五輪へ向けて、競泳女子の新エース候補誕生だ。

 ◆大橋 悠依(おおはし・ゆい)

 ☆生まれとサイズ 1995年10月18日、滋賀県生まれ。3人姉妹の末っ子。1メートル73、55キロ。

 ☆経歴 6歳で水泳を始め、初の全国優勝は中3のジュニアオリンピック200メートル個人メドレー。草津東高を経て東洋大4年。

 ☆平井門下入り 高校で全国制覇はなかったが、高3時に「大きな泳ぎをする選手がいる」と北島康介らを育てた平井伯昌コーチの目に留まる。

 ☆ブレーク 今年4月の日本選手権の400メートルで日本記録を3秒24更新する4分31秒42(リオ五輪銅メダル相当)をマークし、初の世界選手権代表入りを決める。

 ☆趣味 音楽鑑賞。好きなタレントは嵐の大野智。欅坂46の「サイレントマジョリティー」の踊りが得意で「マジョリーナ」の愛称も。

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