カトパン突撃!20年「金」本命視19歳・阿部一二三 勝負の赤パン、豪快一本道

[ 2017年7月25日 09:10 ]

講道館の畳で姿勢を正す阿部一二三(左)と加藤綾子
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 日本のお家芸である柔道で、早くも3年後の金メダルを本命視されている阿部一二三(19=日体大2年)。豪快な投げ技での一本勝ちが最大の魅力だ。強さを支えているのは家族の存在と真っ赤な勝負パンツ。フリーアナウンサー加藤綾子(32)が、聖地である東京・講道館で話を聞いた。

 ――凄い筋肉ですね。柔道着の上からでも分かります。

 「8月に世界選手権(28日開幕、ブダペスト)があるので、絞っている段階ですね」

 ――触ってみてもいいですか?

 「腹筋ですか?ちょっと待ってください。力入れますから(笑い)」

 ――うわ!凄い!硬い!この筋肉はウエートトレーニングの成果ですか。

 「ウエートはあまりしないですね」

 ――えっ!?そうなんですか。

 「ウエートで筋肉をつけてもあまり意味ないかなと。柔道力というのは柔道の練習でしかつかないと僕は思っています」

 ――小さい頃からお父さん直伝のトレーニングをやっていたそうですね。

 「チューブでインナーマッスルを鍛えたり、3、4キロの重たいボールを使って全身運動をしたり」

 ――今でこそ一般的な体幹トレーニングを、ずっと前から取り入れていたんですね。

 「柔道の練習がない日に公園でやったりしていたんで、何やってるんやろ、みたいな感じで見られてたと思います(笑い)」

 ――でも、それが今につながっている。

 「そうですね、自分の柔道の土台になっていると思います」

 ――だから、あの豪快な背負い投げができるんですね。

 「ほかの選手が入れないというか、入らない角度から技をかけられるようになったのは、あのトレーニングのおかげだと思います」

 ――柔道を始めたのは6歳。きっかけは?

 「テレビで何かの大会を見て、凄い面白そうだなと思って。両親にやりたい!って言いました」

 ――でも、最初は泣いてばかりいたと。

 「大きい、高学年の人とかいたんで圧倒されたんだと思います」

 ――そんな一二三少年が、どうして強くなっていったんですか?

 「試合で同じ年の女の子に負けて。悔しくて、もう絶対に負けたくないと、お父さんとトレーニングを始めました」

 ――練習がつらくて柔道を辞めたくなったことはないですか。

 「多い時は一日7時間とかやっていましたが、辞めたいとは思わなかったです。練習に行きたくないとは思いましたけど」

 ――練習を休んでしまったことは?

 「休みたくても、両親に引っ張って連れて行かれて(笑い)」

 ――ここまでくるのにご家族の支えは大きかったですか。

 「やはり両親がサポートしてくれたんで今がある。凄くいい環境で練習できていたと思います」

 ――お母さんは食事面でサポートしてくれた。

 「栄養を考えて作ってくれてましたね。だから体調もあまり崩さず、柔道に打ち込めたと思います」

 ――お母さんの手料理で好きなのは?

 「ラタトゥイユっていう野菜の煮込み料理です」

 ――おしゃれ!

 「どうなんですかね(笑い)。僕が帰省する時には絶対に作って待っていてくれます」。

 ――そのお母さんの勧めで、試合の時は必ず赤いパンツをはくそうですね。

 「柔道を始めて、試合に出始めたころからずっとです」

 ――そんな前からだったんですか。

 「はい、お母さんが、試合の時は闘争心が湧くので赤がいいらしいと言って」

 ――それで赤。

 「もう試合の時は赤パンじゃなかったら勝てない、っていうくらい。一番のルーティンになっています」

 ――3年後の東京五輪は22歳で迎えます。

 「年齢も体的な部分も、乗ってる時期かなと思いますね」

 ――目標はもちろん金メダル。

 「圧倒的な力で優勝したいです」

 ――一本勝ちで。

 「やっぱり一本は柔道の醍醐味(だいごみ)。一本を取りに行く柔道は曲げたくないです」

 ――憧れの選手はいますか?

 「野村忠宏さん。五輪でも野村さんのような豪快な柔道をしたいです」

 ――野村さんは五輪3連覇しました。

 「超えたいですね。凄い大きい夢ですが、五輪4連覇というのを目指したい」

 ――そうすると東京五輪では負けるわけにはいかない。

 「まずは東京五輪で優勝しないと始まらない。東京が一番大事かなと思います」

 ――妹の詩(うた)さんも女子柔道のホープ。東京五輪で一緒にメダルを獲れたら最高ですね。

 「妹と一緒に出られたら、今の予定なら同じ日に試合なんです。一緒の日に2人で金メダルを獲れば、周りの人や両親に一番の恩返しになると思う」

 ――その日も当然、赤パンで?

 「もちろんです。いつも通りに」

 ――ちなみに今日は試合じゃないですけど、何パンですか?

 「今日は黄色だったかな?…あっ!違った、カトパンです!(笑い)」。

 ▼阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年(平9)8月9日、神戸市生まれの19歳。中学2年時の全国大会Vを皮切りに、神港学園高時代はタイトルを総なめ。史上最年少の17歳でグランドスラム東京大会を制した。階級は66キロ級。右組み。得意技は背負い投げ、袖釣り込み腰。身長1メートル68。血液型AB。妹の詩(うた=夙川学院2年)も52キロ級で3月のグランプリ・デュッセルドルフ大会(ドイツ)優勝など活躍。

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