強い横綱がいるからこそ盛り上がる本場所 見てみたい、4横綱皆勤

[ 2017年7月3日 11:20 ]

5月、土俵祭りに参列した(左から)白鵬、鶴竜、稀勢の里、日馬富士の4横綱
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 【佐藤博之のもう一丁】今年も半分が終わり、暦の上ではジュライ。大相撲の名古屋場所が9日に初日を迎える。名古屋場所は1958年(昭33)に本場所となり、今年で60回目。節目の年は4横綱3大関という豪華な番付だ。名古屋場所が4横綱となるのは65、66年(柏戸、大鵬、栃ノ海、佐田の山)、80年(輪島、北の湖、2代目若乃花、三重ノ海)、99年(曙、貴乃花、3代目若乃花、武蔵丸)に続いて5度目だ。

 65、66年は大鵬(13勝2敗、14勝1敗)、80年は北の湖(15戦全勝)と横綱が賜杯を抱いた。99年は関脇・出島(13勝2敗)が横綱・曙との決定戦を制して初優勝を飾った。それぞれ横綱が意地を見せているが、いずれも4横綱皆勤はない。誰が優勝するかが一番の注目であるが、まずは4横綱が千秋楽まで土俵に上がってくれることを切に願っている。

 15日制が定着した49年夏場所から先場所まで、番付が4横綱だったのは62場所だが、4横綱の皆勤は9場所だけ。今回の4横綱も、春場所は白鵬が、夏場所は鶴竜、稀勢の里が途中休場となった。春場所は稀勢の里が新横綱優勝、夏場所は白鵬が1年ぶりの賜杯奪回を全勝で飾ったが、全ての横綱が好結果を残すのは難しい状況にある。

 名古屋場所に向けて、それぞれの横綱が稽古を積んでいるが、昨年の名古屋場所を制した日馬富士は不安を抱えている。肘、膝、足首に慢性的な痛みを抱えているが、その状態は「先場所より悪い」という。ここ一番という取組では抜群の集中力で勝てても、それを15日間維持するのは至難の業だ。当面は出稽古をせずに伊勢ケ浜部屋で調整するという。

 左上腕などの負傷で夏場所を途中休場した稀勢の里も、本調子とは言えない状況だ。新大関に昇進した弟弟子の高安との稽古では、右上手を引いても寄り切られることがしばしば。6月30日の二所ノ関一門連合稽古では、小結・嘉風に左の攻めを封じられ、9勝12敗と負け越した。

 波乱が起きれば盛り上がる。だが、それが続きすぎると、土俵は締まらなくなる。今回の4横綱が過去2場所でそろって勝ったのは2日だけ。あまりにも寂しすぎる結果だ。初日まで1週間を切って、4横綱がどこまで仕上げていくのか。いつもの場所以上に注目したい。 (専門委員)

 ◆佐藤 博之(さとう・ひろゆき)1967年、秋田県大曲市(現大仙市)生まれ。千葉大卒。相撲、格闘技、サッカー、ゴルフなどを担当。スポーツの取材・生観戦だけでなく、休日は演劇や音楽などのライブを見に行くことを楽しみにしている。

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