ナダル 全仏V10にしみじみ「あの頃はのんびり釣りしていると思っていた」

[ 2017年6月12日 08:38 ]

全仏オープンテニス最終日 3年ぶり10度目の優勝を果たし、声援に応えるラファエル・ナダル
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 スペイン国歌を聴きながら、こみ上げてくる熱いものをこらえるように唇をぎゅっとかみしめた。4大大会史上初(68年オープン化以降)となる同一大会10度目の優勝の偉業。ラファエル・ナダル(31=スペイン)が3年ぶりに全仏オープンの王座に返り咲いた。

 「スコアを見れば、すごく簡単に見えるかもしれない。でもそうじゃない。何度も言ってきたように、全仏は1年で何よりも大切な大会なんだ。パリに着いた時から凄くナーバスになる。年を追うごとに大変になる。なぜなら自分も年を取るからね」

 08、10年に続いて、1回戦からの7試合で1セットも落とさなかった。決勝でも大舞台に強いバブリンカ(スイス)を1本のブレークポイントしか与えずに蹴散らした。

 これで全仏のレコードは驚異の79勝2敗。しかし、一昨年は準々決勝でジョコビッチ(セルビア)に敗れ、昨年は3回戦を前に左手首のケガで無念の棄権も味わった。そこから這い上がった頂点に、喜びはひとしおだった。

 表彰式では初優勝した05年から10回の優勝シーンをまとめた特別映像が流された。スタンドには「BRAVO RAFA」と書かれた巨大なフラッグが掲げられ、優勝トロフィーのプレゼンターを今季でコーチ役を離れる叔父のトニ氏が務めるなど特別な演出がいくつも用意されていた。

 「あの映像はすごく特別だった。キャリアの素晴らしい瞬間を総ざらいできた。もうこんなことはないと思う」と喜びに浸ったナダル。「05年頃には、17年になったら地元のマジョルカに戻ってボートに乗ってのんびり釣りでもしてるんだろうと思っていた。こんなに長く選手生活を送って、こんなにたくさんの大会に勝つなんて思ってもいなかったよ」。ここまでの道のりの長さと、成し遂げたことの大きさを王者はしみじみとかみしめた。

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2017年6月12日のニュース