本塁打か三振か 女子テニス界にブンブン丸誕生!

[ 2017年6月12日 10:45 ]

エレナ・オスタペンコ(AP)
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 Shall we テニス?

 20歳で全仏女子シングルス史上初(68年オープン化以降)のノーシードVを達成したエレナ・オスタペンコ(ラトビア)。記録的な側面や社交ダンスが趣味というプロフィールはもちろん、そのプレースタイルも実に鮮烈だった。

 スピンよりフラットの強打。ロングラリーより速攻で決める。赤土の定石を覆すようなプレーを徹頭徹尾貫いた。

 1回戦から7戦合計の決定打の数はダントツ1位で299本。2位とは100本以上の大差がついた。凡ミスの数も271本で圧倒的。2位の選手より90本も多かった。

 第3シードのシモナ・ハレプ(25=ルーマニア)との決勝戦でも決定打は54本、凡ミスも同じ54本を数えた。

 第1セットを落とし、第2セットも0―3と追い込まれたが、そこで開き直ってからが真骨頂。決定打を放てば「よし!私に失うものはないんだから」と勢いづき、ミスをしても「よし!次がある」と変わらず打ちまくった。

 こんなメンタリティーで向かってこられたら、高い守備力を誇るハレプもさすがに手に負えない。「彼女はずーっと同じリズムだった。2メートルもアウトしたかと思えば、次にはかすりもしないショットがきた」とあきらめ顔だった。

 父はウクライナでプレーしたサッカー選手。コーチを務める母の勧めで5歳からテニスを始め、並行して12歳までは社交ダンスにも熱中した。今も母国に帰ると週4回は踊るという大切な趣味は「体全体を同調させないといけない。それがテニスにも役立ってる」と赤土での細かなフットワークに生かされた。

 だが、プレー自体は優雅というより荒々しい。まだ8度目の4大大会だったが、経験不足を圧倒的な攻撃性で補ったツアー初優勝。次のターゲットは3年前にジュニア部門で優勝しているウィンブルドンだ。本塁打か三振かのブンブン丸スタイルは、芝の上でも山ほど決定打をかっ飛ばしそうである。(雨宮 圭吾)

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