【松岡修造の目】今大会で一番悪いミス出た、集中力なかった

[ 2017年6月8日 05:49 ]

テニス全仏オープン第11日 男子シングルス準々決勝   錦織1―3A・マリー ( 2017年6月7日    パリ・ローランギャロス )

全仏オープンテニス男子シングルス準々決勝 A・マリーに逆転負けした錦織(AP)
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 最初の3ポイントを見た時点で、第1セットは絶対に調子がいい、これは圭ゾーンに入るなと思った。予想以上にA・マリーが焦っていたし、普段しないミスをしていた。

 マリーのクレーでのプレーは見ていても怖さがない。コートでの滑り方も違うし、相手のスピードを使ったカウンターもそこまで強くない。圭が集中しておけば何をやられても怖くなかった。

 流れが変わったポイントを1つ挙げるとしたら、第2セットの3ゲーム目、マリーのサービスゲーム。40―0から圭がジュースに追いついて、マリーはタイムバイオレーション(遅延行為)を取られた。第1サーブが第2サーブになった。(※)

 あの第2サーブに対するリターンは圭のミスだった。完全なイージーミス。

 ボールが落ちてくるのを待って打った。しかもコートの真ん中に打った。なのに結果はアウト。マレーはむちゃくちゃ吠えた。バイオレーションを取られて、より燃えていった。どっちかっていうと圭の方が心のバイオレーション取られて一気に自分らしさをなくしてしまった。

 あれは今大会で一番悪いミスだった。

 圭の最終セットの勝率は歴代1位。本来持っていたはずの、ここぞの集中力が発揮できていない。圭が悪いんじゃない。でもそこが発揮できないってことは何かが足りないということだ。

 それはテニスや体力とかではない。圭が自分で探すしかない。

 圭が言っていたように、今日の敵はマリーじゃなかった。一番怖い敵は自分だった。僕もそう思った。(スポーツキャスター)

 ※4大大会ではポイント間の制限時間は男子ツアーよりも5秒短い20秒。A・マリーはすでに第1セット第3ゲームで最初の警告を受けていたため、2度目のこのゲームではペナルティーとなって第1サーブが第2サーブになった。

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2017年6月8日のニュース