トルコ政府がサンダーのキャンターに圧力 父親の身柄拘束 “共謀罪”適用か

[ 2017年6月3日 10:19 ]

サンダーのキャンター
Photo By AP

 NBAサンダーのセンターでトルコ国籍のエネス・キャンター(25歳)の父メメット氏が、イスタンブールの自宅で当局に身柄を拘束され、イスタンブールから西に135キロ離れたテキルダーにある審問所に移送されたことが明らかになった。地元の複数のメディアが伝えているもので、今後は取り調べの上で逮捕か釈放が判断される。

 トルコでは昨年7月にクーデーター未遂が起こり270人が死亡。2000人以上が負傷した。これを受けてエルドアン大統領は“独裁色”を強め、米国在住で反体制派とされているギュレン師とその支持者を「テロ集団」と認定。キャンターは依然からギュレン師を支持しており、先月にルーマニアに入国しようとした際には「旅券が失効している」として足止めをくらっていた。

 その後英国ロンドン経由で米国にUターン。「彼(エルドアン大統領)は21世紀のヒトラーだ」と政府側の対応を強烈に批判していた。その後、キャンターに対してはいわゆる“共謀罪”が適用され「逮捕状が請求された」という報道もあった。

 メメット氏は大学で薬学を教えていたが昨年に退職しようとした際には“解雇扱い”となって失職。ギュレン師を支持する息子とはここ数年絶縁状態で「勘当した」とも伝えられている。しかしトルコ政府側はその関係をただすために身柄を拘束。共謀罪の拡大解釈とも言える措置で、キャンターに対する圧力をさらに強めてきた。

 キャンターは「身柄を拘束された他の数千人同様、父は拷問を受ける可能性がある」と憂慮。トルコ国内ではすでに5万人以上が逮捕され、警察官を含む10万人以上の公務員が解雇されており、メメット氏に対して検察側がどのような判断をするのかが注目されている。

 キャンターは今季14・3得点をマーク。しかしトルコ国籍を事実上、はく奪された状態ではカナダのトロントに本拠を置いているラプターズとの試合(ロード)には現状では出場できない。本人は米国籍の取得を希望しているが手続きには数年かかる見込み。しかも米トランプ政権は移民に対して厳格な措置を講じることを表明しており、NBAで現役を続行するには多くの難問が山積みとなっている。

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2017年6月3日のニュース