佳純&吉村組58年ぶり連続メダル!混合ダブルス男女同ペアで

[ 2017年6月3日 05:30 ]

卓球世界選手権個人戦第5日 ( 2017年6月2日    ドイツ・デュッセルドルフ )

混合ダブルス準々決勝を突破し、メダル獲得を確定させた吉村(右)、石川組
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 平野美宇(17=エリートアカデミー)が女子シングルスでメダルを確定させ、48年ぶりに歴史の扉を開いた。そこには長期的視野に立っての日本卓球界を挙げての育成の成果があった。シンボル的存在とも言える平野に負けじと、1日に石川佳純(24=全農)・吉村真晴(23=名古屋ダイハツ)の混合ダブルスを皮切りに、2日も男女のダブルスも3組が準々決勝に勝利。準決勝進出で表彰台が確定した。

 同じメダル獲得でも、2年前と充実感が違う。中国・蘇州は挑戦者として。デュッセルドルフは、前回銀メダリストの肩書に加えて、ともにリオ五輪団体メダリストの称号を得ていた。勝利を義務づけられた重圧をはねのけての表彰台。4強を決めると、石川と吉村はそっと握手をした。

 「前回決勝で負けた相手だったのでリベンジしたい気持ちはありましたし2年前より成長をしたという姿も見せたかった」。女子エースの言葉の先は女子・梁夏銀(ヤン・ハウン)だ。相方は変わったが、因縁の相手には変わりない。

 第1ゲームを13―11で競り勝つと、石川の切れたサーブ、吉村の強烈なフォアハンドが得点を呼んだ。11―3、11―5で追い込めば、4ゲーム目を落としても余裕があった。4―1の完勝だ。

 「バリエーションが増えて戦術の幅が広がりました」。真晴の名前と強打をかけた「マッハ」の愛称を持つ吉村の感想に自信が宿った。ペアの強みは、吉村の世界屈指のサーブや強打と、石川の高い技術だが、一足飛びで連係を深めたわけではない。石川の「練習は10分でいいから毎日やることを心掛けた」という言葉通り、この1カ月間、コツコツと積み上げた結果だ。

 試合後、石川の目が潤んでいたように見えた。実際は違ったが、それを報道陣に問われると「(うれし涙は)まだ取っておきますよ」とイタズラっぽく笑った。男女同ペアで2大会連続でメダルを獲るのは荻村伊智朗、江口冨士枝組以来、日本勢58年ぶりの快挙ながら、ゴールもまだ先だ。この種目の優勝は、69年の長谷川信彦・今野安子までさかのぼる。当時もドイツ、ミュンヘンが舞台。歴史を変えるにはもってこいの国だ。

 ▽荻村伊智朗 1932年6月25日生まれ。世界選手権では54年ウェンブリー大会の男子シングルス優勝を皮切りに61年北京大会までに団体戦を含め日本人最多の12タイトルを手にした。引退後の70年には中国の周恩来首相に“ピンポン外交”を提案したと言われている。87年から94年に死去するまで国際卓球連盟の第3代会長を務め、91年世界選手権(千葉)では韓国と北朝鮮による統一コリアチームの出場を実現させた。そうした栄誉が称えられ、95年から日本開催のワールドツアーに「荻村杯」という冠がつけられている。

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