怪童・張本、大金星!史上最年少代表が日本のエース水谷撃破

[ 2017年6月2日 05:30 ]

卓球世界選手権個人戦第4日 ( 2017年6月1日    ドイツ・デュッセルドルフ )

男子シングルス2回戦で水谷隼(左)を破り、ガッツポーズで喜ぶ張本
Photo By 共同

 史上最年少の日本代表、世界ランキング69位の張本智和(13=エリートアカデミー)が男子シングルス2回戦で、リオデジャネイロ五輪男子シングルス銅メダルで同6位の水谷隼(27=木下グループ)から金星を挙げた。強打の応酬を何度も制し、出だしから3ゲーム連取。流れをつかみ、4―1で圧倒した。

 最高の舞台で「憧れ」の人を倒した。中学2年生、13歳の張本がリオ五輪銅メダリストで、長く日本のエースとして君臨してきた14歳上の水谷を撃破。「今まで卓球をやってきた中で一番うれしいです」。13歳は信じられないといった表情でインタビューを受けたが、すぐに笑顔に変わった。

 序盤から迷いなく畳み掛けた。1ゲーム目は最大で10―2まで広げ、第2ゲームは出だしから4連続得点をした。「チョレイ!」の掛け声が何度も響き渡った。前日は「勝つ確率は5%」と語っていたが、内心は違っていた。「気持ちは勝つ気100%でいた」。そして、大金星を現実にした。

 卓球選手だった中国出身の両親を持つサラブレッドは、冷静さも持ち合わせていた。連取して迎えた3ゲーム目は13―12でタイムアウトを取った。「そのゲームの3度目のゲームポイントだった。ここは絶対に取りたいと思って、一回気持ちを落ち着かせた」。得意のバックハンドの攻撃的レシーブ「チキータ」をさく裂させた。国際卓球連盟は公式ツイッターで「まさかの番狂わせ」と伝えた。

 大会が行われているデュッセルドルフは欧州一と言われる日本人街がある。日本食への恋しさに外出する選手は多いが、20年東京五輪の星は大会側が用意した食事を満喫。男子ダブルスの森薗は「僕の倍は食べる」と証言する。この1年で身長が約7センチ伸びて1メートル71になった。環境に左右されないたくましさを備え、体も卓球の技術も着々と進化している。

 卓球先進国・ドイツのファンからも大きな拍手を送られた会心の勝利。だが、張本は決して浮かれることなく足元を見つめた。「自分が水谷さんに勝ったからといってメダルを目指すのではなく、初心に帰って一つずつ勝ちたい」。力強い言葉には、13歳とは思えない風格が漂っていた。

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