運転席で居眠り、タイヤはパンク、ここはロサンゼルス?逮捕時のウッズの様子が判明

[ 2017年5月31日 15:28 ]

パームビーチ郡警察の報告書(AP)
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 違法運転の容疑で逮捕されたプロゴルファーのタイガー・ウッズ(41歳)に関する警察当局の報告書が30日に公開され、ウッズの驚くべき当時の様子が明らかになった。

 “事件”は29日午前2時3分にフロリダ州ジュピターで発生。6車線ある道路の1車線と自転車専用ゾーンの両方をふさいでいる黒いベンツが発見された。警察官が到着してみると、ドライバーが両腕をだらりと下げて運転席で眠っており、膝にはスマートフォンが置かれていた。それがウッズだった。

 懐中電灯で運転席を照らし出すとウッズはようやく目をさましたが、「ロサンゼルスでゴルフをして戻っているところです。ここはどこ?自宅からはどれくらい離れているんでしょう?」と答えたあと再びまぶたを閉じた。現場に立ち会った4人の警官による報告書の「スピーチ」という項目には「非常にあいまいで、話すのが遅い」と記され、「態度(ATTITUDE)」には「不安定で眠たそうで一人では歩けなかった」と明記。「その他」には「協力的ではあるが極端に眠たそうで目を開けているのがつらそうだった」と手書きの文字で書かれていた。

 車は運転席側の前後2つのタイヤがパンクしており、前後のバンパーはつぶれ、ブレーキランプとウインカーは点灯したまま。どこかに接触した形跡があったが、意識がはっきりしていないために事故原因については明らかになっていない。警察官は呼気分析装置(ブレサライザー)による検査をしようとしたものの、歩行もおぼつかない状態だったことから検査不可能と判断。午前3時に違法運転(DUI)容疑で現行犯逮捕となった。

 注目すべきは報告書の中にある「MEDICAL・CONDITIONS(服用薬物)」の項目。ウッズは4月に腰の手術を受けているが、副作用として陶酔、昏睡などが挙げられている麻薬性鎮痛剤のバイコディンを服用していた。米国神経学会はこの薬について「腰痛などの慢性疼痛には危険」という見解を示しており、AP通信によれば米食品医薬局(FDA)も「精神と肉体(あるいはどちらか)を害する危険性があるので、車の運転などの行為は十分注意すること」と警鐘を鳴らしていた。

 さらに報告書では「SOLAX」という薬物名が記されているがこれは文字の誤りで、実際には米国や日本で一般的に処方されている抗不安薬のソラナックス(アルプラゾム)である可能性が高く、薬効のひとつとして眠気を誘う作用がある。

 また「ETORIX」は米国では認可されていないもうひとつの鎮痛薬。ウッズは保釈後に出した声明の中で「複数の薬物を摂取したが、これほどの副作用は予期できなかった」としたが、手術の影響で複数の鎮痛剤と抗不安薬を同時に服用するならば「最もやってはいけない」とされている車の運転は避けるべきだっただろう。

 スポーツ界ではかつてNFLの看板QBとして活躍したブレット・ファーブ氏(47歳=パッカーズほか)が「1カ月分の鎮痛薬を2日で服用していた」と依存症に陥っていたことを告白。それが今回のウッズと同じバイコディンだった。ファーブは自分の“異変”に気づき、その後はNFLの薬物乱用防止プログラムの下で治療を受けて依存症から脱却。手術を4回受けているウッズにも外科的治療以外のケアが必要になっていると言えそうだ。

 ゴルフ界の帝王、ジャック・ニクラウス氏(77歳)は「友人だけに気の毒に思う。願わくばまたゴルフができるようになってほしいし、そのためには多くの人の助けが必要だろう。私もその1人になる」とコメント。手術を受けた腰に関してウッズは「これまでになくいい感じだ」と語っているだけに、今後の“復活プログラム”に期待したいところだ。

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