桃田、圧勝復帰 1年2カ月ぶり公式戦「今までにない緊張」

[ 2017年5月28日 05:30 ]

男子シングルス1回戦、ジャンピングスマッシュを放つ桃田
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 違法カジノ店での賭博による無期限試合出場停止処分が15日に解除された桃田賢斗(22=NTT東日本)が復帰し、男子シングルス1回戦で和田周(ジェイテクト)を21―7、21―8とストレートで下した。違法賭博問題が発覚して2回戦を棄権した昨年4月のマレーシア・オープン以来の公式戦となったが、左腕から繰り出す力強いスマッシュやネットプレーが光り、わずか26分の圧勝を収めた。

 約1年2カ月ぶりとなる公式戦を終えた桃田は、遠慮がちに左手で小さくガッツポーズをつくると、周囲に一礼してからコートを去った。試合後の会見では「国民の皆さまを裏切った形になった。信頼回復に向けて人としても強くなりたい」と反省の言葉を並べた。

 元世界ランキング2位の実力者もブランク明け初戦とあり硬い表情を隠せなかった。主催者側が混乱を避けるため、報道席の横に桃田が試合を行う「専用コート」を設定する異例の対応を見せれば観客も桃田がコートに姿を現すと、かつてのエースに大きな拍手や声援を送り会場は独特な雰囲気に包まれた。

 加えて、相手は日本ランキング29位で全国高校総体を制した経験もある和田。「今まで感じたことのない緊張だった」というが、ネットぎりぎりにシャトルを沈ませる得意のヘアピンが決まり始めると、徐々にリズムを取り戻した。第2ゲームでは開始から8連続ポイントを奪って主導権を握ると、左腕からの豪快なスマッシュを何本も決めて会場を沸かせた。

 謹慎中は苦手だったランニングやウエートトレーニングで肉体改造に取り組んだ。体重は67キロ前後まで絞ったことでスピードがアップ。「最初は速く動けたので違和感があったがうまく修正できたと思う」と新ボディーでの戦い方にも手応えをつかんでいた。

 11月に開幕する全日本総合選手権で上位に入れば、日本代表復帰も見えてくる。桃田は「いずれは日本のトップと切磋琢磨(せっさたくま)しながら頑張りたい」と代表への思いを語ったが、現状では東京五輪への第一歩を何とか踏み出したところ。一度つかみかけた夢舞台への道のりはまだ道半ばだ。

 【桃田復帰までの経緯】

 ▼16年4月7日 違法カジノ店での賭博行為が発覚。桃田は遠征先のマレーシアから緊急帰国した。

 ▼同4月10日 日本協会の緊急理事会が開かれ、違法カジノ店でバカラ賭博をしていた8人に対する処分を発表。世界ランキング2位の桃田は日本代表選手の指定解除と無期限の競技会出場停止となり、メダルが期待されたリオ五輪出場は消滅した。

 ▼同4月11日 NTT東日本が同社男子バドミントン部員8人に対する処分を発表。主導的な役割だった12年ロンドン五輪代表の田児賢一は解雇、桃田は30日間の出勤停止となった。

 ▼17年3月12日 日本バドミントン協会は桃田の処分を5月15日に解除すると決めた。バドミントン教室参加などの社会貢献活動や勤務態度についてNTT東日本からの報告を受けて、反省した姿勢を評価した。

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2017年5月28日のニュース