稀勢、3連覇絶望的 苦手の栃煌山に敗れ9日目で3差

[ 2017年5月23日 05:30 ]

大相撲夏場所 9日目 ( 2017年5月22日    両国国技館 )

支度部屋で沈黙を貫いた稀勢の里
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 横綱・稀勢の里が痛恨の3敗目を喫し、賜杯が遠のいた。平幕・栃煌山戦は右から張って出たところでもろ差しを許し、防戦一方で寄り切られた。4日目の遠藤戦に続き、2個目の金星配給。日馬富士、白鵬の両横綱が全勝を守ったため、トップと3差に開いた。9日目終了時点の3差を逆転した例はなく、双葉山以来80年ぶりとなる初優勝からの3場所連続優勝は絶望的となった。大関獲りの関脇・高安は1敗キープで勝ち越しを決めた。

 日を追うごとに言葉数が少なくなっていた稀勢の里が、ついに無言を貫いた。風呂から上がって東の支度部屋の一番奥に腰を下ろした横綱は、まげを整えている間、相撲内容、優勝争いについての質問に一切、答えなかった。地下駐車場の車に乗るまで口を真一文字に結んで引き揚げた。

 これまで25勝14敗と苦しめられていた栃煌山戦。右から張って左を差しにいったが、すぐに二本差された。上体を起こされ後退。俵に足がかかっても棒立ちでは残せない。4秒足らずで土俵を割った。土俵下で取組を見た藤島審判長(元大関・武双山)は「脇の甘さでしょう。“もろ差しになってください”というぐらいだった。中途半端に立ってしまった」と立ち合いのミスと分析した。

 左上腕付近に負傷を抱えながら、土俵に立ち続けている今場所。初日から一貫して右足から踏み込んでいる。これまでは対戦相手によって左足に替えることがあり、右差しが得意な栃煌山には15年九州場所から7番全て、左足から踏み込んでいた。3連勝していた直近の対戦はいずれも、左踏み込み→左おっつけ→左差しの流れ。8日目の碧山戦と同様に、右踏み込み→右張り手→左差しを選択したのを見ると、左上腕に不安があるため左でおっつけられなかったと思わざるを得ない。

 痛恨の黒星で優勝は絶望的となった。15日制が定着した49年夏場所以降、9日目までに3敗を喫しながら優勝した例は7度あるが、9日目時点でトップとの3差を逆転した例はない。そのデータ以前に、直接対決を残す日馬富士、白鵬が残り6日間でともに3敗以上するとは考えにくい。

 10日目以降は全て関脇以上との対戦。万全でなくても戦う気持ちだけはなくさず土俵に上がってきた横綱は、どこまで白星を伸ばせるか。横綱2場所目で試練を迎えた。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)稀勢の里はもっとしぶとく押し込まなければ。(3敗目は)残念だが気持ちを切らさず勝っていくことが横綱の務めだ。

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