稀勢、大横綱への道“正面”突破!80年ぶり初Vから3連覇にいざ挑戦

[ 2017年5月14日 05:30 ]

二枚の優勝額を背に両手を広げる稀勢の里
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 大相撲夏場所は14日、東京・両国国技館で初日を迎える。13日は国技館で優勝額贈呈式と安全を祈願する土俵祭りが行われ、初場所と春場所で連続優勝を果たした横綱・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)の優勝額がお披露目された。日本出身力士が一度に2枚の額を受け取ったのは、1996年秋場所前の貴乃花以来、21年ぶり。左上腕付近のケガを抱えながらも出場を決断した横綱は、37年の双葉山を最後に80年間成し遂げられていない初優勝からの3連覇の偉業に挑む。

 綱を締める前の大関時代の姿と、白い綱を堂々と締めて太刀を手に持つ姿。稀勢の里の優勝額2枚が、初日から国技館にお目見えする。

 一度に2枚受け取った日本出身力士は、1996年夏場所と名古屋場所で連続優勝した貴乃花以来21年ぶりだ。さらに、大関と横綱での額をそろって手にするのは61年の秋場所、九州場所を連覇した大鵬以来のこと。この日の贈呈式では「うれしい。こんな立派な優勝額を頂いて、ありがたい。また頂けるようにしっかりやりたい」と決意を口にした。

 国技館に額が掲げられるのは直近32場所の優勝者のみ。この日贈呈された2枚には、他の30枚にはない稀勢の里ならではの特徴があった。優勝回数が多い白鵬は、横綱土俵入りなどポーズは多種多様だ。他の力士のトレンドは斜めを向いた立ち姿が多い。しかし、稀勢の里は「なるべく正面を向きたい」とリクエストした。

 特に初優勝の額は、左足はやや後ろに下げながらも上半身はしっかりと正面を向いている。真っすぐ伸びた相撲道を迷わず見通しているように映る。視線の先にあるのは1937年の双葉山以来になる初優勝からの3連覇。過去、双葉山のほかに太刀山と栃木山しか達成していない。3人とも3連覇が懸かった場所の初日は白星スタートで勢いを付けた。

 稀勢の里もここ2場所は中日を全勝で折り返して連続優勝。前半が結果につながる傾向がある。それだけに、12日の取組編成会議後に審判部長の二所ノ関親方(元大関・若嶋津)は「前半が勝負でしょう」と指摘した。

 大事な初日は、結びで小結・嘉風と対戦。初日としては異例の53本(森永賞が加われば54本)の懸賞が出される。注目の一番になるのは間違いないが、稀勢の里は「今熱くなってもなんの意味もない」と冷静に構える。

 日本出身力士の3連覇そのものが、1996年春場所から秋場所まで4連覇した貴乃花を最後に途絶えている。左上腕付近の負傷は完治していない。それでも封印を解ける存在は、優勝額に描かれた分身のように真っすぐに前だけを見据える東の正横綱しか見当たらない。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)(先場所痛めた左上腕が不安材料になる稀勢の里について)足のケガなら衰えたりするし、力が入らなくて不安だが、足は鍛えられているから。横綱はケガを言い訳にできない。(優勝争いは)4人の横綱中心。

 ▼優勝額 現在は両国国技館の東西南北の各壁面に8枚ずつ合計32枚掲げられている。蔵前国技館時代は36枚。以前は油絵の具で色をつけたものだったが、14年初場所の額からカラー写真に変更され、重量は80キロから59キロに。1枚の大きさは縦3.17メートル、横2・265メートル。1、5、9月の東京での本場所を前に、最も古い2枚が外され直近の優勝額2枚が新たに掲げられる。1937年の春場所(1月)から毎日新聞社(当時は前身の東京日日新聞社)が制作、贈呈している。

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2017年5月14日のニュース